帰省の移動手段、車と新幹線どちらが安いか|家族4人の費用を条件をそろえて比較

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帰省シーズンが近づくと、家族4人分の切符をまとめて予約するか、車のガソリンタンクを満タンにするかで迷う家庭は多い。カレンダーに帰省の候補日を入れながら、スマートフォンの乗換案内アプリと高速道路のルート検索を両方開いたまま、どちらの画面も閉じられずにいる時間帯がある。

子どもが小学生になると新幹線は半額になると聞いたことがある一方で、車ならそもそも人数分の運賃という発想自体がない。両者を同じ条件でそろえて数字を出してみると、感覚だけで選んでいたときとは違う景色が見えてくる。

毎年なんとなく同じ手段を選び続けている家庭ほど、一度きちんと数字を並べたときの差に驚くことが多い。今回は帰省の定番区間の一つを例に、条件をそろえた試算をしてみる。

目次

比較の条件をそろえる

今回そろえた条件は次のとおりである。区間は東京・新大阪間、人数は大人2人・小学生の子ども2人の家族4人とした。日程は往復2日、通常期(繁忙期の割増や閑散期の割引がかからない時期)を基準にしている。

新幹線は「のぞみ」の普通車指定席、車は新東名高速・新名神高速を経由するルートで、車種はミニバン1台を想定した。子連れの移動では座席を離さずに確保できるかどうかが実務上の分かれ目になる。そのため新幹線側は自由席ではなく指定席で統一した。

細かいようだが、ここをそろえないと比べる意味がない。

新幹線と車の費用比較で使った条件(区間・人数・日程・車種)を並べた一覧図
比較に使った条件の一覧 ※概念図(実測データではありません)

大人と子どもの運賃区分にはJR東海の公式ルールがある。「おとな」は12歳以上(12歳でも小学生は「こども」)、「こども」は6歳から12歳未満で、こどもの運賃・料金はおとなの半額、5円の端数は切り捨てになる。この区分をそのまま今回の家族構成に当てはめて計算した(JR東海「おとなとこども」利用ルール)。

新幹線を使う場合の費用

東京・新大阪間の「のぞみ」普通車指定席は、大人片道14,720円(乗車券8,910円+特急料金5,810円)。先述のルールに沿うと、こどもの片道は7,350円になる。大人2人・こども2人の家族4人で往復すると、合計88,280円が家族全体の運賃・料金になる(東京駅-新大阪駅間の新幹線運賃・料金)。

東京・新大阪間の新幹線の運賃・料金を大人・こども別に積み上げ、家族4人の往復合計88,280円を示した表
新幹線の運賃・料金の積み上げ(2026年9月時点の公表値) ※各社公表値を基に筆者が試算

座席は指定席なので、隣同士に座れるかを予約時に心配する必要はほとんどない。車内で動き回りたがる年齢の子どもがいると、片道2時間半という所要時間の短さそのものが助かる場面もある。

ただし、この金額は通常期の指定席料金である。JR東海は指定席特急料金をシーズンごとに変えていて、最繁忙期は通常期に400円増し、繁忙期は200円増し、閑散期は200円引きになる(JR東海「シーズン別の指定席特急料金」)。帰省が集中する年末年始やお盆は、この最繁忙期にあたる時期を含む。

自由席なら大人片道13,870円まで下がる。ただし満席で座れない可能性を、家族4人分まとめて背負うことになる。

車を使う場合の費用

東京・大阪間を車で移動する場合、道幅が広く走りやすいとされる新東名高速・新名神高速経由のルートを使う。東京ICから吹田ICまでの高速料金は通常10,840円、走行距離は片道約500kmになる。ガソリン価格を170円/L、ミニバンの燃費を20km/Lと仮定すると、片道のガソリン代は約4,300円である(東京-大阪間の車移動にかかる料金の目安)。

高速料金もガソリン代も、乗る人数が2人でも4人でも金額は変わらない。往復・割引なしなら、高速料金とガソリン代を合わせて30,280円になる。

車の往復費用を高速料金とガソリン代に分け、割引なし30,280円と深夜割引あり23,780円を比べた棒グラフ
車の往復費用の内訳(2026年9月時点の公表値) ※各社公表値を基に筆者が試算

車種を軽自動車に替えればガソリン代はさらに下がる。ただし4人分の荷物とチャイルドシートを積む前提だと、車内の広さを削ってまで節約する家庭ばかりではないだろう。

高速道路の割引は帰省では効きにくい

高速料金を下げる仕組みとして、よく名前が挙がるのが深夜割引と休日割引である。この2つは、帰省に使えるかどうかがはっきり分かれる。

深夜割引は、0時から4時の間に走行した区間があれば、入口から出口までの全走行分の料金が約30%割引になる制度である。今回のルートなら片道の高速料金が7,590円まで下がり、往復の総額は23,780円になる(NEXCO西日本「高速道路深夜割引」)。

一方の休日割引は、条件がかなり細かい。対象は普通車と軽自動車等に限られ、割引が効くのは地方部の区間だけで、東京・大阪近郊の区間は対象から外れる。今回のルートでは東名高速の東京・厚木間や、名神高速の大津・西宮間、新名神高速の高槻JCT・川西間が、この近郊区間にあたる(NEXCO東日本「ETC 休日割引」)。

さらに帰省との相性が悪いのは、適用除外日の設定である。ゴールデンウィーク、お盆、年末年始、シルバーウィーク、三連休は休日割引の対象にならない。つまり帰省がいちばん集中する時期は、そろって除外日にあたる。

「土日に走るから3割引き」という感覚のまま予算を立てると、当日の請求が想定と合わない。

なお深夜割引については見直しが決まっている。対象時間帯が22時から翌5時までの7時間に広がる代わりに、割引の対象がその時間帯に走った分だけになり、ETCマイレージサービスへ登録したカードで走って後日還元を受ける形に変わる。変更日は2026年9月時点でまだ公表されていない。

運転する側にかかる負担

渋滞なく走れても片道5〜6時間、休憩を挟むと8時間近くかかる。「あと何分で着くのか」と後部座席から何度も聞かれる時間の長さは、金額には出てこない負担でもある。

長距離運転では、どんなに慣れていても最低2時間に1回はサービスエリアやパーキングエリアに立ち寄り、15〜20分ほど休憩することが推奨されている。まぶたが重くなる、集中力が散漫になるといった兆候が出たら、その時点で休憩が必要というサインでもある。

出発時刻の選び方でも体感は変わる。週末の午前中は高速道路が混雑しやすいため、深夜や早朝に出発するなど時間をずらす工夫が有効だとされている。お昼ごろまでに到着したいなら、交通量が少ない早朝4時ごろまでに出発するのが理想という目安も示されている。

深夜割引をねらう走り方と、渋滞を避ける走り方は、たまたま同じ時間帯を向いている。

眠い目をこすりながらの早朝出発を、割引の分だけ得だったと言えるかどうかは別の話だが。

幼児連れならではの注意点

今回の試算は小学生の子ども2人を前提にしたが、未就学の幼児がいる家庭は条件が変わる。新幹線では乳児と幼児の運賃・料金は原則無料になる。ただし、幼児が指定席やグリーン席を1人で利用する場合や、大人・こども1人に同伴する幼児が2人を超える場合は、3人目からこどもの運賃・料金が必要になる点は見落としやすい。

車の場合はチャイルドシートの装着が前提になり、休憩のたびに乗せ降ろしする手間も発生する。ここは費用の比較表には出てこない部分である。

飛行機・高速バスという選択肢

選択肢は新幹線と車の2つだけではない。同じ出典によれば、東京・大阪間は飛行機で約1時間、片道1人あたり約7,000円からが目安になる。高速バスなら約8時間、片道1人あたり約4,000円からとさらに安い。ただし飛行機の料金には空港までの移動時間や搭乗手続きが含まれておらず、預け荷物やベビーカーの扱いなど子連れ特有の手間も別に発生する。高速バスは費用こそ抑えられるが、所要時間は車より長くなりがちだ。狭い座席で数時間を過ごす前提を、子どもが受け入れられるかは家庭によって差が大きい。

総額と所要時間の比較

並べると差は大きい。新幹線は往復88,280円で所要は片道約2.5時間、車は往復30,280円(割引なし)で所要は片道約5〜6時間。家族4人分の運賃が積み上がる新幹線に対して、車は人数にかかわらず定額であることが、この開きを生んでいる大きな理由である。

新幹線と車の往復総額と片道の所要時間を並べ、差が約58,000〜64,500円になることを示した表
総額と所要時間の比較(2026年9月時点の公表値) ※各社公表値を基に筆者が試算

費用だけを見れば車に軍配が上がる。差は往復で6万円前後になる。ただし、これは運転する側の疲労や渋滞のリスクを費用として計上していない比較でもある。長時間運転を交代できる大人が1人しかいない家庭で、休憩なしの前提で計画を立ててよいのだろうか。

人数が変われば差も変わる。新幹線側は運賃が乗る人数分そのまま積み上がる仕組みなので、大人2人・子ども1人の3人家族なら往復の総額は下がり、逆に祖父母を含めた6人になれば差はさらに開く。車側の高速料金・ガソリン代は乗車人数に関係なく一定のままなので、家族の人数が多いほど車の割安感は強まる計算になる。

使い分けの目安

費用を最優先するなら車、移動時間と体力の消耗を抑えたいなら新幹線、という単純な二択にはなりきらない。往復6万円前後の差を、時間と体力のどちらに換算して考えるべきなのだろうか。

子どもの年齢や荷物量によって向き不向きが変わる。乳幼児がいてチャイルドシートが必須、かつ運転を交代できる大人が2人いる家庭では、車の総額の低さが効いてくる。逆に、子どもが新幹線の座席で過ごすことに慣れている、あるいは運転できる大人が1人しかいない家庭では、車を選ぶ理由は薄れる。実家までの荷物が多い帰省かどうかも判断材料になる。

予約や準備にかかる手間も見落とせない。新幹線は往復4人分の座席をまとめて確保する手間があり、繁忙期は指定席が早々に埋まることもある。車は座席の心配こそないが、出発前の点検や荷物の積み込み、ルートと休憩地点の下調べといった準備が別にかかる。

運転の交代要員や荷物量、日程から車と新幹線のどちらが向くかを並べた概念図
家族の条件による使い分けの目安 ※概念図(実測データではありません)

毎回同じ結論になるとは限らない。閑散期の平日に日程をずらせるなら新幹線の負担はもう少し下がるし、深夜の時間帯に往路を走れるなら車の総額はさらに縮む。次の帰省の日程が決まったら、その日が休日割引の除外日にあたるかどうかを先に見る。そこから始めるだけでも、当日の会計は想定に近づく。

次に読む

本記事の費用試算は、2026年9月時点で各社の公式サイト・料金案内ページに掲載されていた数値を基にした一般的な目安である。実際の料金は時期や車種、割引の適用可否によって変動する。帰省の移動手段を決める際は、最新の料金と割引の適用日を各社の案内で確認したうえで、家庭ごとの事情に照らしてご判断いただきたい。

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この記事を書いた人

4人家族で妻、息子、娘で関西に新築建てて住んでいます。日々、家族の要望に応えられるように未来に関係しそうなことやお金に関すること調べてこっそり、生活に取り入れています。

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