テーマパークで予算が崩れた日、次に決めた歯止め

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9月はじめの土曜日、開園前のゲート前にはすでに親子連れの列ができていた。前に並ぶ家族の多くが、首からフリーパスを下げている。

こちらが手にしていたのは、事前にネットで買っておいた入園券だけだった。

今回は乗り物に乗らず、動物や屋外プールのエリアを中心に過ごす予定だった。入園券だけを買えば、その日の出費はある程度読めると思っていた。財布の中には、想定した金額ぴったりの現金しか入れていなかった。

大手のテーマパークに比べて入園料が抑えられている点も、今回この遊園地を選んだ理由のひとつだった。乗り物に乗らなければ、家族4人でも1万円かからずに過ごせるはずだという見立てがあった。

ところが、園内に入って早々に予定が崩れ始めた。

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入園券だけのつもりだった

ひらかたパーク公式サイト「チケット案内・購入」によると、入園券は事前にネットで購入すると大人1,900円、小学生1,100円、キッズ1,100円だった(2026年9月17日確認)。大人2人・小学生1人・キッズ1人の4人家族なら、入園券だけで合計6,000円になる計算だ。

乗り物に乗らない前提なら、この金額で収まるはずだった。

ひらかたパークの入園券の料金を、事前ネット購入と現地窓口購入それぞれについておとな・小学生・キッズ別に示した表(2026年9月17日確認)
入園券の料金(事前ネット購入と現地窓口・2026年9月17日確認) ※ひらかたパーク「チケット案内・購入」を基に作成

事前に決めていたのは、園内を歩いて回り、屋外プールと動物エリアだけで過ごすという方針だった。乗り物に乗りたがったらどうするかは、その場で決めればいいと考えていた。

この「その場で決める」という判断が、後から振り返ると甘かった。

過去に別の遊園地へ行ったときは、フリーパスをはじめから買っていたので、こうした迷いは生まれなかった。今回はプールと動物が中心の予定だったからこそ、入園券だけで十分だという判断に自信を持ちすぎていた面がある。

ゲートの列で見た光景は、園内に入ってからも変わらなかった。入園券だけで歩いている親子のほうが、どうやら少数派だった。それでも、今日は歩いて回るだけでいいと自分に言い聞かせていた。

ゲートをくぐってすぐ、「フリーパス、乗りたい」と子どもが言った。聞こえなかったふりをして、そのまま動物エリアへ向かった。

その動物エリアでは、予定どおり静かに過ごせた。ヤギに餌をやったり、ベンチで一休みしたり、ここまでは想定していた1日の流れそのものだった。空気が変わったのは、園の奥にある絶叫コースターのエリアに差しかかってからだった。

気づけばフリーパスへ

人気の絶叫コースターが動いているのを見て、子どもが乗りたいと言い出した。入園してまもなくだった。子どもの「乗りたい」の一言だけで、最初の計画を崩していいのだろうか。窓口へ向かう数分の間、そんな迷いもよぎった。

窓口で聞いて分かったのは、入園券を持っていればフリーパスだけを買い足せるということだった。入園券とフリーパスがセットになったチケットを買い直す必要はない(同、2026年9月17日確認)。

フリーパス単体を4人分で12,300円。すでに払った入園券の6,000円と合わせて、チケット代は18,300円になった。

ひらかたパークのフリーパス単体と入園券つきセットの料金を、購入方法別におとな・小学生・キッズごとに示した表(2026年9月17日確認)
フリーパスの料金(単体と入園券つきセット・2026年9月17日確認) ※ひらかたパーク「チケット案内・購入」を基に作成

帰ってから料金表を見返して、もう一度手が止まった。入園券とフリーパスのセットを事前にネットで買っていた場合も、4人で18,300円。買い足した場合とちょうど同じ額だった。

つまり、この日の出費が膨らんだ原因は買い方ではない。乗り物に乗る日になるかどうかを、出発前に決めていなかったことのほうだった。

買い方を悔やんでいた時間のほうが、よほど無駄だった。責める先を間違えていると、次に直すところも見つからない。

もっとも、現地の窓口でセットを買い直していれば18,700円になっていた。窓口の人が「入園券はお持ちですね」と確認してくれなければ、その差の400円は気づかないまま払っていたはずだ。

優先乗車券にも手が伸びた

フリーパスを買った後も、状況は変わらなかった。人気の乗り物には長い列ができていて、待ち時間だけで1時間近くかかりそうだった。窓口の近くに、優先乗車券という案内が出ていた。

上の子は列に並ぶこと自体を楽しんでいる様子だったが、下の子はすぐに飽きてしまい、地面に座り込んでぐずり始めた。同じ状況でも、きょうだいで受け止め方がこれほど違うとは思っていなかった。

炎天下で待つのと、追加でお金を払って待ち時間を短くするのとを、その場で天秤にかけた。下の子はすでに列の途中で座り込んでしまっていて、悠長に検討している余裕はなかった。

冷静に比べれば小さな出費でも、疲れた子どもを前にすると判断のハードルは一気に下がる。

優先乗車券は、木製コースター「エルフ」とコースター「レッドファルコン」がそれぞれ1人500円で、通常より短い待ち時間で乗車できるという(同、2026年9月17日確認)。列に並ぶ体力が残っていなかった下の子のために、この2種類を2人分買い足した。2,000円の追加だった。

ひらかたパークの優先乗車券の料金をアトラクション別に示した表(2026年9月17日確認)
優先乗車券の料金(アトラクション別・2026年9月17日確認) ※ひらかたパーク「チケット案内・購入」を基に作成

列に並んでいる間、小腹がすいたと言われて売店でスナックとジュースを買った。会計は1,200円ほどだったと思う。予定外の出費のうち、いちばん小さかったのはこの軽食代だったかもしれない。

想定と実際の差額

当初の想定は入園券だけで6,000円。実際にかかったのは、チケット代18,300円に優先乗車券の2,000円、軽食代の1,200円ほどを足して、21,500円だった。差額は15,500円。実際にかかった額は、当初の想定の3倍を超えていた。

差額の内訳を見ていくと、いちばん大きかったのはフリーパス代の12,300円で、差額全体の8割近くを占めていた。優先乗車券と軽食代は合わせて3,200円ほどで、金額としては小さい。

それでも、この2つがなければ差額は1万円台前半に収まっていた。小さな支出の積み重ねが、最後にじわりと効いてくる。

当初の想定予算と実際にかかった費用の差額15,500円を、フリーパス・優先乗車券・軽食代の内訳で示した棒グラフ(筆者試算)
想定した予算と実際にかかった費用の差額内訳(4人分)を基に筆者が試算

帰り道、レシートを見返しながら、どこで判断を誤ったのかを考えた。入園券だけで済ませるという最初の方針そのものは、乗り物に乗らない前提なら間違っていなかったはずだ。崩れたのは、子どもが乗りたいと言い出した瞬間に、その場でしか判断材料を持っていなかったことだった。

財布には入園券の分しか現金を入れていなかったので、フリーパスと優先乗車券の支払いは電子マネーで済ませた。現金を使い切ったという実感がなかった分、追加の出費に対する歯止めがひとつ外れていたようにも思う。

車の中で子どもたちは楽しそうに1日を振り返っていたが、助手席でレシートを畳みながら、少し複雑な気持ちになった。財布から出てきたレシートの枚数が、その日に迫られた判断の数でもあった。

振り返ってみると、フリーパスへの切り替えそのものは、早い段階で予想できたはずだった。入園ゲートで人気アトラクションの看板を見た瞬間の反応や、周りの家族連れの装備を見ていれば、今日はきっと乗りたがるだろうという見当はついたかもしれない。その見当を、出発前ではなく現地で初めて言葉にしたことが、判断を遅らせた一因だったように思う。

次に決めた歯止め

次に行くときのために、家族で3つのルールを決めた。ひとつ目は、乗り物に乗る可能性が少しでもあるなら、入園券だけでなく、あらかじめフリーパスも含めて予算を組んでおくこと。金額は買い方によらずほぼ同じでも、予算として先に見ておけば、その場で決断を迫られずに済む。

ふたつ目は、優先乗車券に使う金額の上限を、出発前に家族で決めておくこと。並ぶかどうかを現地でその都度話し合うと、待ち時間へのいらだちに押されて判断が甘くなる。上限を先に決めておけば、その場の空気に流されずに済むだろうか。まだ試していないので、正直なところ分からない。

みっつ目は、軽食や土産物にあてる金額にも、入園前におおまかな上限を置くこと。軽食代そのものは小さくても、乗り物・優先乗車券・軽食と、その場しのぎの支出が重なるほど総額は膨らんでいく。

出かける前に子どもたちにも、フリーパスと優先乗車券の分は先に決めた金額までと伝えておくつもりだ。当日になって初めて聞かされるより、納得して選べる場面が増えるはずだ。園内に着いてから交渉するのと、家を出る前に共有しておくのとでは、同じ内容でも受け止め方が違う。

次に行くときは、入園ゲートをくぐる前にもう一度、この3つを声に出して確認することになる。

今回の出費が高くついたと感じる一方で、子どもたちの笑顔を思い出すと、失敗だったの一言で片づける気にもなれない。それでも、楽しかったかどうかと、予算どおりに収まったかどうかは、本来は別の話だ。片方を理由にもう片方をあいまいにする癖だけは、直しておきたい。

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本文で紹介した料金は2026年9月時点でひらかたパーク公式サイトを基に確認したものであり、施設や日程、チケットの販売窓口によって変動します。おでかけの前には公式サイトで最新の料金と販売条件を確かめ、ご家庭の事情に照らしてご判断ください。

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この記事を書いた人

4人家族で妻、息子、娘で関西に新築建てて住んでいます。日々、家族の要望に応えられるように未来に関係しそうなことやお金に関すること調べてこっそり、生活に取り入れています。

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