添い寝の夜に見えた隙間から布団とベッドガードを点検する

宿泊した部屋は畳ではなく洋室で、備え付けのベッドが2台並んでいた。1歳2か月の子ども用に、自宅から持ってきた工具不要のベッドガードを大人用ベッドの片側に取り付け、子どもをその内側に寝かせた。マットレス一体型のベッドで、ガードの脚をマットレスの下に差し込む構造だった。厚みのある寝具のせいか、固定してもどこか頼りない感触が残った。

夜中、隣で寝ていた保護者がふと目を覚まし、子どもの様子を確かめようとして気づいた。ガードのネット部分とマットレスの間に、腕が入るくらいの隙間ができていた。子どもは眠ったままガードの内側にいて事なきを得たが、その晩はそれ以上眠れなかった。

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説明書に書かれていた対象月齢

帰宅後、荷物にしまい込んでいたベッドガードの取扱説明書を引っ張り出して読み直した。パッケージの裏面には「生後18か月から60か月まで」と表示があり、購入時には見た記憶がなかった。1歳2か月の子どもは、この製品の対象月齢に届いていなかったことになる。

荷造りのときに、説明書の対象月齢を確認していただろうか。振り返ると、以前の帰省で問題なく使えたからという理由だけで、今回も同じものを持っていっていた。持ち物リストには「ベッドガード」と書くだけで、対象月齢や設置条件までは書き添えていなかった。

調べてみると、一般財団法人製品安全協会が定めるSG基準では、大人用ベッドに取り付ける幼児用ベッドガードについて、生後18か月未満には使用しない旨の本体表示を義務付けている。米国の消費者製品安全委員会も、ベッドガードの使用を生後18か月から60か月までと定める。基準を決めた国も団体も違うのに、下限の月齢だけは揃っていた。

消費者庁が令和2年11月13日に公表した資料には、乳児がベッド用落下防止柵とベッドの隙間に挟まった状態で発見され、死亡が確認された事例が載っている。当該製品はマットレス一体型のベッドに取り付けられていて、ネット部とベッドの間には約5センチメートルの隙間が空いていた。平成29年9月の事故である。同じ資料は、0歳児が大人用ベッドとベッドガードに挟まれて死亡する事故が平成29年度に2件発生していることも記している。

数センチの隙間がどれほど危ういものか、宿の部屋で腕を差し込んでみるまでは実感がなかった。

この資料には、事故の全体像も載っていた。医療機関から寄せられた報告として、6歳以下の子どものベッドからの転落事故は912件。平成27年1月から令和2年9月末までの数である。内訳は、大人用ベッドからの転落と見られるものが722件、ベビーベッドからの転落が139件、2段以上のベッドからの転落が51件だった。大人用ベッドからの転落に限ると、0歳児が433件、1歳児が122件を占める。まだ寝返りもおぼつかない月齢の子どもが、転落事故の中心にいる。

ベッドの種類別に見た6歳以下の子どもの転落事故912件の内訳を示す横棒グラフ
6歳以下の子どものベッドからの転落事故912件の内訳 ※消費者庁「0~1歳児のベッドからの転落事故に御注意ください!」を基に作成

しっかり固定しても子どもが隙間に挟まるおそれはある。だから購入前に対象月齢を確認し、使う前に取扱説明書と注意表示を読むこと。資料はそう呼びかけている。ベッドと壁の間に隙間ができないようくっつけて固定することや、ベッドの周りに枕・毛布・クッションを置かないことも、あわせて挙げられていた。

調べているうちに、ベビーベッド自体にも国の安全基準があることを知った。国が定めた安全基準に適合していることを示す「PSCマーク」を付した製品でなければ、ベビーベッドは国内で販売できない。今回のような、大人用ベッドに後付けするタイプのガードは、この表示の対象そのものではない。だからこそ、対象月齢や設置条件を使う側が自分で確認する必要があるのだと理解した。

就寝時の窒息は、旅先に限った話ではない

消費者庁が厚生労働省の人口動態調査を分析した別の公表資料では、平成22年から平成26年までの5年間で、0歳児の就寝時の窒息死事故が160件確認されている。これは同じ期間の0歳児の不慮の事故死全体502件の32%にあたる。事故の状況を件数の多い順に見ると、その他・詳細不明が81件、顔がマットレスなどに埋まるものが33件、掛け布団等の寝具が顔を覆う・首に巻き付くものが17件、ベッドと壁の隙間などに挟まれるものが13件、ベッドからの転落に起因する窒息が7件、家族の身体の一部で圧迫されるものが5件、ベッド上の衣類やクッション等で顔を覆われるものが4件となっている。

0歳児の就寝時の窒息死事故160件の状況を件数の多い順に示す横棒グラフ
0歳児の就寝時の窒息死事故の状況(160件) ※消費者庁「0歳児の就寝時の窒息死に御注意ください!」を基に作成

同じ資料は、0歳児の不慮の事故死の原因を原因別に整理していて、就寝時の窒息32%を筆頭に、ミルク等胃内容物の誤嚥による窒息が22%で続く。窒息だけで8割を占める。

0歳児の不慮の事故死の原因を割合の多い順に示す横棒グラフ
0歳児の不慮の事故死の原因の内訳 ※消費者庁「0歳児の就寝時の窒息死に御注意ください!」を基に作成

旅先だから特別に危ないわけではない。環境が変わることで、普段の注意が抜け落ちやすくなるだけなのだと、数字を並べて初めて腑に落ちた。自宅の敷布団は硬めのものを選んでいたのに、宿のベッドの寝具がふかふかしているかどうかまでは、そのときまで気にしていなかった。掛け布団も、自宅で使っている軽いものではなく、宿の厚手の羽毛布団をそのまま使っていた。

普段の寝室であれば、照明を落とす前に寝具を一つずつ確かめる余裕がある。旅先では、移動の疲れと慣れない部屋の暗さで、そこまで手が回らない。

添い寝そのものにも注意点がある

先の資料は、添い寝にも触れている。寝かしつけの際に添い寝をしたまま寝込んでしまい、保護者の身体の一部で子どもを圧迫してしまう事故があるという。大人用ベッドを使って寝かしつける場合は、子どもを一人にせず、寝かしつけた後にできるだけベビーベッドへ移すよう呼びかけられていた。旅先ではベビーベッドを持ち込めないことがほとんどのため、この点は特に意識しておく必要がある。

自宅では、寝かしつけのあとに子どもだけをベビーベッドへ戻す習慣がついていた。宿では、その戻し先がない。結局、大人用ベッドにそのまま寝かせ続けることになり、いつもの手順が一つ抜け落ちていたことに、帰宅してから気づいた。

寝返りやずり這いができる月齢になると、寝ている間に自分で動いて隙間に近づいてしまうことも増える。資料も、子どもは日々成長してできることが増えるため、動かないだろうと油断しないよう注意している。まだ動けないはずだという前提こそが、いちばん危うい。

清水悦子の「赤ちゃんにもママにも優しい安眠ガイド」でも、寝かしつけの環境づくりが夜泣き対策の土台として扱われている。眠りの質を上げる前に、まず安全な環境を整えるという順番は、旅先でも変わらないはずだ。布団を敷く部屋とベッドの部屋、宿を予約するときにどちらを選んでいるだろうか。今回の件があってから、子どもの月齢が上がるまでは、畳に布団を敷けるタイプの部屋を優先的に選ぶようにしている。

次の旅行から徹底している点検表

予約の段階で、まず部屋のタイプを確認する。布団を選べるなら布団にし、ベッドしかない宿では、持参するベッドガードの対象月齢とベッドの構造が合っているかを事前に問い合わせておく。電話一本で確認できることに、あの晩まで気づいていなかった。

現地に着いたら、ガードを取り付けた後に必ず自分の手を隙間に入れて確かめる。マットレスとの間に指が入る程度でも、そのまま使わない。掛け布団は子どもが自分で払いのけられる軽さのものに替え、枕やぬいぐるみは顔の近くに置かない。1歳になるまではあお向けで寝かせ、添い寝は寝かしつけの間だけにとどめる。部屋の照明を落とす前、まだ手元が見える明るさのうちに、この一通りを済ませておくと見落としが減る。

荷造りのリストにも「ベッドガード(対象月齢18か月〜・設置後に隙間を確認)」と書き足した。持ち物の名前だけでなく、確認する手順まで書いておけば、次に荷造りをする家族が読んでも同じ手順を踏める。

予約サイトの部屋タイプ欄だけでは、寝具の厚みまでは分からないことも多い。和室でも敷布団がふかふかの高級品だったり、洋室でもマットレスが硬めだったりと、宿ごとに差がある。気になる宿があれば、予約の電話やメッセージ機能で「敷布団やマットレスの硬さ」「ベッドガードの持ち込みは可能か」を直接尋ねるようにしている。断られたことは今のところ一度もない。

旅先で寝床を決める前に確認する5つの手順を順に示す概念図
旅先の寝床を決める前のチェックリスト ※概念図(実測データではありません)

ここまで徹底しても、隙間を完全にゼロにできているとは言い切れない。

それでも、荷造りのときに説明書を読み直すという一手間を挟むだけで、あの晩のような肝の冷える思いは確実に減らせている。景色を見る前に、まず寝床を見る。行き先が変わっても、その順番だけは変えていない。

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清水悦子「赤ちゃんにもママにも優しい安眠ガイド」は、寝かしつけの環境づくりから生活リズムの整え方までを順に扱う。旅先で寝床を整えるときの考え方の下敷きにもなる。

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本記事で紹介した事故の件数や割合は、消費者庁が公表した資料に基づく参考情報であり、個々の製品や宿泊施設の安全性を保証するものではない。子どもの発達や体格には個人差があるため、実際の使用可否は製品の取扱説明書や宿泊施設への確認をもとに、各家庭で判断してほしい。

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この記事を書いた人

4人家族で妻、息子、娘で関西に新築建てて住んでいます。日々、家族の要望に応えられるように未来に関係しそうなことやお金に関すること調べてこっそり、生活に取り入れています。

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