大人用ベッドに取り付ける幼児用ベッドガードは、生後18か月未満の子どもには使わない。消費者庁はそう呼びかけ、満2歳になるまでは大人用ベッドに寝かせず、できるだけベビーベッドに寝かせるよう求めている。旅先の部屋は、ベッドの構造も寝具の硬さも宿ごとに違う。予約の段階で部屋のタイプとベビーベッドの貸し出しを確かめ、着いたら寝かせる前に寝具とガードを点検する。
ベッドガードの対象月齢は18か月から
一般財団法人製品安全協会が定める安全基準(SG基準)は、大人用ベッドに取り付ける幼児用ベッドガードについて、生後18か月未満には使用しない旨の本体表示を義務付けている。米国の消費者製品安全委員会も、ベッドガードの使用を生後18か月から60か月までと定める。消費者庁は「生後18か月未満の乳幼児には絶対に使用しないでください」と呼びかけている。
対象月齢は、製品のパッケージや取扱説明書、本体の注意表示で分かる。購入前と旅行の荷造りの前にそれを見て、子どもの月齢が下限に届いているかを確かめる。以前に使って何も起きなかった製品でも、対象月齢に届いていなければ使わない。
消費者庁が令和2年11月13日に公表した資料には、乳児がベッド用落下防止柵とベッドの隙間に挟まった状態で発見され、死亡が確認された事例が載っている。当該製品はマットレス一体型のベッドに取り付けられていて、ネット部とベッドの間には約5センチメートルの隙間が空いていた。平成29年9月の事故である。同じ資料は、0歳児が大人用ベッドとベッドガードに挟まれて死亡する事故が平成29年度に2件発生していることも記している。
医療機関から消費者庁に寄せられた報告では、6歳以下の子どものベッドからの転落事故は912件。平成27年1月から令和2年9月末までの数である。内訳は、大人用ベッドからの転落と見られるものが722件、ベビーベッドからの転落が139件、2段以上のベッドからの転落が51件。大人用ベッドからの転落に限ると、0歳児が433件、1歳児が122件を占める。

消費者庁の資料は、ベッドガードはしっかり固定しても子どもが隙間に挟まるおそれがあるとして、購入前に対象月齢を確かめ、使う前に取扱説明書と注意表示を読むよう求めている。ベッドと壁をくっつけて隙間を作らないことと、ベッドの周りに枕・毛布・クッションを置かないことも挙げている。
ベビーベッドは消費生活用製品安全法の特別特定製品で、国が定めた安全基準に適合していることを示す「PSCマーク」を付した製品でなければ、国内で販売できない。大人用ベッドに後付けするベッドガードは、このPSCマークの対象外だ。対象月齢や設置条件は、使う側が取扱説明書で確かめる。
就寝時の窒息は、旅先に限った話ではない
消費者庁が厚生労働省の人口動態調査を分析した別の公表資料では、平成22年から平成26年までの5年間で、0歳児の就寝時の窒息死事故が160件確認されている。これは同じ期間の0歳児の不慮の事故死全体502件の32%にあたる。事故の状況を件数の多い順に見ると、その他・詳細不明が81件、顔がマットレスなどに埋まるものが33件、掛け布団等の寝具が顔を覆う・首に巻き付くものが17件、ベッドと壁の隙間などに挟まれるものが13件、ベッドからの転落に起因する窒息が7件、家族の身体の一部で圧迫されるものが5件、ベッド上の衣類やクッション等で顔を覆われるものが4件となっている。

同じ資料は、0歳児の不慮の事故死の原因を原因別に整理していて、就寝時の窒息32%を筆頭に、ミルク等胃内容物の誤嚥による窒息が22%で続く。窒息だけで8割を占める。

就寝時の窒息を防ぐ注意は、自宅でも旅先でも変わらない。敷き布団やマットレス、枕は、顔が埋まらない子ども用の固めのものを使う。こども家庭庁は、1歳になるまでは掛け布団を使わず、スリーパーなどの着るものや空調で寒さを調整するよう勧めている。掛け布団を使うなら、子どもが払いのけられる軽いものにするよう消費者庁は呼びかけている。
宿の寝具を使う場合は、寝かせる前に敷き布団やマットレスの硬さと、掛け布団の重さを確かめる。暗くなると寝具の状態が見えにくいので、照明を落とす前に済ませる。
添い寝そのものにも注意点がある
消費者庁は、寝かしつけの際に添い寝をしたまま寝込んでしまい、保護者の身体の一部で子どもを圧迫する事故に注意を呼びかけている。大人用ベッドで寝かしつける場合は、子どもを一人にせず、寝かしつけた後はできるだけベビーベッドへ移す。こども家庭庁は、添い寝する人が飲酒した場合や、眠気を引き起こす薬を飲んでいる場合の添い寝は特に危険だとしている。赤ちゃんが早産や低出生体重で生まれた場合も、特に危険な場合に入る。
旅先で寝かしつけた後の移し先を確保するには、宿にベビーベッドの貸し出しがあるかを予約のときに確かめる。貸し出しがなければ、床に布団を敷ける和室を選ぶ方法もある。床に敷いた布団なら、大人用ベッドからの転落は起きない。敷き布団の硬さ、掛け布団、周りの隙間の注意はベッドのときと同じだ。
寝返りやずり這いができる月齢になると、寝ている間に自分で動いて隙間に近づいてしまうことも増える。資料も、子どもは日々成長してできることが増えるため、動かないだろうと油断しないよう注意している。まだ動けないはずだという前提こそが、いちばん危うい。
予約から就寝までの点検表
予約の段階で、部屋のタイプとベビーベッドの貸し出しの有無を確かめる。ベッドしかない部屋でベッドガードを使うなら、子どもが対象月齢に届いていることが前提になる。そのうえで宿のベッドの構造(マットレス一体型かどうか、マットレスの厚さ)を尋ね、ガードの取扱説明書にある設置条件と合うかを照らし合わせる。
宿に着いたら、ガードを取り付けたあとに、ガードとマットレスの間に隙間ができていないかを手で確かめる。隙間ができるなら、そのベッドでは使わない。隙間が見当たらなくても、しっかり固定したガードで子どもが挟まるおそれは残る。1歳になるまではあお向けで寝かせ、枕やぬいぐるみ、タオルは顔の近くに置かない。添い寝は寝かしつけの間だけにする。
荷造りのリストには、「ベッドガード(対象月齢18か月〜・設置後に隙間を確認)」のように、品名と一緒に確かめる手順まで書く。次に荷造りをする家族が読んでも、同じ手順を踏める。
予約サイトの部屋タイプ欄では、寝具の硬さまでは分からないことがある。予約の電話やメッセージ機能で、「敷布団やマットレスの硬さ」「ベビーベッドの貸し出し」「ベッドガードの持ち込みは可能か」を宿に直接尋ねる。

次の旅行の前に、ベッドガードの本体表示か取扱説明書で対象月齢を確かめ、宿には部屋のタイプとベビーベッドの貸し出しを問い合わせる。子どもが対象月齢に届いていなければ、ベッドガードは荷物に入れない。
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清水悦子「赤ちゃんにもママにも優しい安眠ガイド」は、寝かしつけの環境づくりから生活リズムの整え方までを順に扱う。旅先で寝床を整えるときの考え方の下敷きにもなる。
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本記事で紹介した事故の件数や割合は、消費者庁が公表した資料に基づく参考情報であり、個々の製品や宿泊施設の安全性を保証するものではない。子どもの発達や体格には個人差があるため、実際の使用可否は製品の取扱説明書や宿泊施設への確認をもとに、各家庭で判断してほしい。
