赤ちゃん連れの宿選び、見るべきは4つだけ ― 床・寝床・食事・風呂

赤ちゃん連れの宿選び 見るべきは4つだけ アイキャッチ

チェックインして5分。生後9か月の子がハイハイで畳の縁から絨毯敷きの廊下へ出ていき、慌てて抱き上げる。部屋はフローリングにラグを敷いただけで、段差があり、角の尖った座卓がある。旅行用のベビーベッドを組み立てる間、片手で子どもを抱えたまま冷や汗をかく。宿選びのサイトには絶景の露天風呂と豪華な食事の写真が並んでいたが、赤ちゃん連れにとって見るべき情報はそこではなかった。

赤ちゃん連れの宿選びで確認する条件は、突き詰めると「床」「寝床」「食事」「風呂」の4つでいい。この4つを予約前に確認していれば、あとは好みで選んでも大きな失敗にはならない。逆にどれかを見落とすと、旅行中ずっと気を張り続ける。この記事では、4条件で何を確認するか、月齢でどう優先順位が変わるか、そして電話で聞く言葉まで書く。

赤ちゃん連れの宿選びで見る4つの条件の表。床、寝床、食事、風呂について予約前に聞くことと月齢で変わる点
赤ちゃん連れの宿選びで見る4つの条件 ※概念図(実測データではありません)
目次

なぜ4つに絞るのか

大人だけの旅行と、見るべき点がまったく違う。景色や食事のグレードより先に、赤ちゃんが安全に、家族が気疲れせずに過ごせるかが優先される。床・寝床・食事・風呂の4つは、月齢によって必要な条件が変わり、なおかつ宿によって対応の差が大きい。ラウンジの充実度や部屋からの眺めは、赤ちゃん連れであってもなくても選び方は変わらない。条件を絞らずに探すと、写真映えする部屋や評価の高いレビューに目を奪われ、床材や食事の形態を確認し忘れたまま予約する。

床: ハイハイ期は接触面を見る

ハイハイ期からよちよち期の赤ちゃんは、床に顔が近く、物を口に運ぶ。畳やクッション性のある床材の部屋は、転んでもけがをしにくく、移動する範囲も広く取れる。土足禁止でスリッパを使う和室や和洋室は、この点で有利だ。フローリングだけの洋室は、角のあるローテーブルや家具の配置次第で危険箇所が増える。

予約前に聞くのは「客室は和室か洋室か」「部屋の中で靴を脱ぐ動線か」の2つ。洋室なら、家具の角にコーナーガードがあるか、貸し出しがあるかまで聞く。畳の部屋でも、掛け軸や生け花など倒れやすい調度品が置かれていないかは、チェックインの直後に自分の目で確かめて、必要なら押し入れに移す。宿の探し方そのものは土足禁止・畳・小上がりの宿の探し方で、予約サイトの絞り込み手順を書いた。

寝床: 転落の数字と対策

寝床で最も注意するのは転落だ。消費者庁の子ども安全メール Vol.577によると、大人用ベッドからの転落事故の報告は2015年1月から2020年9月末までに912件。うち0歳が534件、1歳が160件で、0〜1歳で全体の4分の3を占める。受傷の多くは頭部で、件数は少ないが窒息の報告もある。

大人用ベッドからの転落事故の報告件数。0歳534件、1歳160件、2歳以上218件の横棒グラフ
大人用ベッドからの転落事故の報告件数(2015年1月〜2020年9月・計912件) ※消費者庁「就寝時の転落事故に注意しましょう(子ども安全メール Vol.577)」を基に作成

ベッドで添い寝するなら、赤ちゃんの反対側を壁につけ、大人が外側で寝る配置にする。ベッドガードを使う手もあるが、注意点がある。製品安全協会(CPSA)のSG基準は、幼児用ベッドガードの使用年齢を生後18か月以上と定めている。1歳前後の子には、そもそも使えない。ベッドとガードの隙間に挟まる事故が起きるからだ。

いちばん確実なのは、畳の部屋に布団を敷いて川の字で寝られる宿を選ぶことだ。転落の心配そのものがなくなる。ベビー布団の貸し出しがあるかも、予約時に聞いておく。

食事: 部屋食かどうかと離乳食

共用の食事会場だと、ぐずったときに周囲の目が気になり、料理を味わうどころではなくなる。部屋食や個室での食事に対応している宿なら、多少泣いても気兼ねがない。離乳食の持ち込みが可能か、電子レンジや調乳用のお湯が借りられるかは、月齢によっては欠かせない条件だ。

手作りの離乳食を出す宿や、お食い初めのプランを用意している宿もある。アレルギー対応が要る場合は、予約の段階で食材を具体的に伝え、当日も配膳の前に一度確認する。子どもの椅子とキッズメニューの有無も先に聞いておくと、当日の準備が楽だ。夕食の開始時刻を早めてもらえるかも聞いておく。18時を過ぎると眠くてぐずる月齢では、17時半開始にできるだけで食事の景色が変わる。

風呂: 月齢で選択肢が変わる

首がすわった後なら、部屋付きの家族風呂や貸切風呂を使える宿が多い。共用の大浴場は、1歳前後をひとつの目安にする家庭が多いが、月齢による決まりがあるわけではなく、宿の規約とその日の体調で判断する。施設によっては年齢や未就学かどうかで利用条件を設けている。大浴場の年齢制限の有無と、貸切風呂・部屋風呂の予約要否は、宿ごとに必ず聞く。

沐浴がしやすいよう、洗い場付きの部屋風呂を用意している宿がある。月齢が低いうちは、露天風呂の眺めより、この洗い場のほうが効く。貸切風呂は予約制で、夕食前の時間帯から埋まる。チェックイン時に空き枠を押さえる。入れる時間は15分あれば足りる。赤ちゃんの入浴は短く、湯温は大人が少しぬるいと感じる程度に落とし、脱衣所にバスタオルとおむつ、着替えを先に広げてから湯に入れる。湯上がりに廊下を歩く距離が長い宿は、湯冷めしやすいので部屋風呂を優先する。

月齢で優先順位が変わる

月齢で変わる4条件の優先順位の表。首すわり前は寝床の安全、ハイハイ期は床、よちよち期は風呂の年齢制限
月齢で変わる4条件の優先順位 ※概念図(実測データではありません)

首がすわる前の生後0〜5か月は、大浴場や貸切風呂を使う場面が少ない。風呂より寝床の安全と部屋の温度管理を先に見る。ハイハイが始まる6〜10か月は、床の条件が急に重くなり、行動範囲が広がって物を口に入れる時期と重なる。よちよち歩きの1歳前後からは大浴場デビューを考える家庭が増え、風呂の条件を見る場面が増える。今どの時期にいるかを起点に、4条件のどれを重点的に確認するかを決めると、限られた予約時間でも順番がつく。

あなたの子は、次の旅行のときに何か月になっているだろうか。予約は2〜3か月前になることが多いので、出発時の月齢で条件を見る。

首すわり前の温度管理は見落とされやすい。旅館の客室は冬の暖房が強く、夏は冷房の吹き出し口の真下に布団が敷かれていることがある。到着したら温度計代わりにスマホの天気アプリではなく、実際に布団の上に手を置いて確かめ、吹き出し口の向きを変えるか布団の位置をずらす。加湿器の貸し出しがあるかも、電話で聞く5項目に足していい。

持っていくと部屋の条件を補えるもの

宿の設備で足りない分は、荷物で補える。コーナーガードは100円ショップのもので十分で、粘着テープ跡が残らないタイプを4個持っていけば座卓の角は塞げる。バスタオルを丸めて布団の縁に置けば、畳の部屋での寝返り対策になる。マスキングテープはコンセントの目隠しと、開けてほしくない引き出しの仮止めに使える。ベビー用の食事エプロンと、使い慣れたスプーンも持参する。宿の子ども用食器は月齢に合わないことがある。

チェックイン後の最初の10分でやることも決めておく。床に落ちている小さな物を拾う、調度品を押し入れに移す、コンセントを塞ぐ、ベッドの配置を壁側に寄せる、風呂の温度と滑り止めを見る。この10分を先にやると、あとは気を張らずに過ごせる。

認定制度を目安にする

4条件を1つずつ確認するのが大変なときは、「ウェルカムベビーのお宿」の認定を目安にする。ミキハウス子育て総研の認定プロジェクトによれば、2008年から運営している制度で、設備などのハード面と接客などのソフト面をあわせた全100項目のうち、70項目以上を満たした客室が認定される。

ウェルカムベビーのお宿認定の仕組みの表。ミキハウス子育て総研が運営、全100項目のうち70項目以上、認定は客室ごと
「ウェルカムベビーのお宿」認定の仕組み ※ミキハウス子育て総研「ウェルカムベビーのお宿 認定プロジェクト」を基に作成

注意点は、認定が宿全体ではなく特定の客室に対して行われることだ。同じホテルの中に、認定を受けた部屋とそうでない部屋がある。予約サイトで「認定客室」と明記されているかを見て、不明なら宿に直接聞く。認定はベビー用品の会社が運営する制度なので、認定がない宿が赤ちゃん連れに向かないという意味ではない。4条件を自分で確認できるなら、認定の有無は問わなくていい。

予約前に電話で聞く5項目

予約前に電話で確認する5項目と聞き方の例の表。客室のタイプ、寝床、食事、風呂、認定客室
予約前に電話で確認する5項目 ※概念図(実測データではありません)
  • 客室は和室・和洋室か。洋室なら家具の角の対策があるか
  • 布団敷きにできるか。ベビー布団の貸し出しはあるか
  • 部屋食か個室食か。離乳食の持ち込みと温め、調乳のお湯は借りられるか
  • 大浴場の年齢制限はあるか。貸切風呂・部屋風呂の予約方法と時間帯
  • 「ウェルカムベビーのお宿」の認定客室はどの部屋か

予約サイトの設備欄では分からないことが多いので、電話で聞く。5項目で3分もかからない。電話に出た人が答えられないときは、予約担当か客室係に代わってもらう。設備や対応は宿ごとに細かく違い、リニューアルや繁忙期の運用変更で条件が変わる。気になる宿が見つかったら、最後は公式サイトか電話で最新の情報を確かめてから予約する。

認定客室や部屋食プランを選ぶと宿泊費は上がる。どこまでの予算をかけるかは、宿を探す前に夫婦ですり合わせておく。旅行全体の予算の組み方は子連れ旅行の予算の立て方で、家族4人・2泊3日の内訳を試算した。

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本記事で紹介した施設の設備・料金・対応は変更されることがあり、安全を保証するものではありません。最新の情報は必ず宿泊施設の公式サイトでご確認ください。個々の赤ちゃんの発達には差があるため、月齢の目安はあくまで一般的な参考としてご自身の判断でお使いください。

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この記事を書いた人

4人家族で妻、息子、娘で関西に新築建てて住んでいます。日々、家族の要望に応えられるように未来に関係しそうなことやお金に関すること調べてこっそり、生活に取り入れています。

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