子どもが歩き回るようになった1歳半を過ぎたころから、宿選びに条件が1つ増えます。ベッドの隙間から落ちる心配のない畳の部屋、靴を脱いで座らせられる小上がり、土足のまま人が行き交うロビーを通らずに部屋へ行けるかどうかです。検索窓に「子連れ 旅行」と打つだけでは、この条件にはたどり着けません。
宿選びの基準を「床・寝床・食事・風呂」の4つに絞る考え方は赤ちゃん連れの宿選び、見るべきは4つだけにまとめています。床の条件のうち畳と土足禁止は、楽天トラベル・じゃらん・宿の公式サイトの3つの経路で、絞り込める範囲と自分で確かめる範囲が違います。
小上がりが欲しい理由
小上がりとは、洋室の一角を一段高くして畳を敷いた、腰かけたり寝転んだりできる小さな和のスペースを指します。ホテルの洋室にも小上がり付きの客室は増えていて、和室そのものが無い施設でも見つかります。ベッドと違って高さがないので、寝返りやハイハイの途中で落ちる心配が少なくなります。荷物やベビーカーを置く床としても使いやすく、赤ちゃん連れでは和室の代わりになります。
3つの経路で絞り込めるのはどこまでか
床の条件は「和室・畳の部屋があること」と「館内が土足禁止、または部屋まで靴を脱いで入れること」の2点です。この2点を各サービスの検索画面と案内ページでどこまで絞り込めるかを、次の表にまとめました。

結論は表のとおりで、「旅館」という宿タイプまでは検索サイトの条件で絞れても、「畳の部屋」や「土足禁止」まで絞り込める仕組みは、どのサイトにも用意されていません。ここから先は、候補を1件ずつ開いて写真と文章を読む作業が残ります。
楽天トラベルの絞り込み
楽天トラベルは、宿泊地と日程を入力した後の検索結果画面に絞り込みのパネルがあります。宿タイプ・食事・温泉・お風呂・設備・サービス・部屋・バリアフリーといった見出しごとに、チェック形式で条件を足していきます(手順は楽天トラベル「宿泊施設の検索・絞り込み方法について」)。

良い点は、宿タイプの項目に「旅館」「民宿」が並んでいることです。和室のある施設が集まりやすい業態でまとめて絞れるので、ホテルチェーンの多いエリアでも最初の候補出しには向きます。困る点は2つあります。「和室」「畳」をチェックする項目が無いこと、「土足禁止」も項目に無いことです。沖縄県の検索結果画面を例にとると、部屋に関する絞り込み項目は禁煙ルーム・喫煙ルームや露天風呂付き客室、バリアフリーの項目は車椅子可やバリアフリールームで、床の素材や館内の動線に触れる項目はありません。
じゃらんの絞り込み
じゃらんには「おまかせ!じゃらんナビ」というこだわり検索があります。温泉・食事・宿の種類といった条件をボタンで選び、「すべてのこだわり条件を表示」を押すとさらに詳細な条件が出ます(じゃらん「こだわり検索(おまかせ!じゃらんナビ)画面の見方・使い方」)。

良い点は、宿の種類を軸にこだわり条件を重ねられることです。旅館の掲載数が多いぶん、地方の温泉旅館を探すときはじゃらんのほうが候補に出会いやすくなります。困る点は楽天トラベルと同じで、こだわり条件の入り口にあるのは温泉・食事・宿の種類までで、館内の動線や床の素材は対象外になっています。土足禁止を直接指定できる項目は、こちらにもありません。
公式サイトとキーワードで埋める
2つの予約サイトで候補を絞った後は、気になる宿の公式サイトを開きます。予約サイトの検索結果には出てこない「玄関で靴を脱いでいただきます」という一文が、公式サイトの客室紹介や館内案内には載っています。古い温泉旅館や離島のリゾートホテルでは、館内の動線そのものが土足禁止で設計されていることがあり、この情報は公式サイトの文章のほうが詳しく書かれています。宿ごとにページの作りがばらばらで探す手間はかかるので、予約サイトで候補を3〜5件に絞ってから回ります。
フリーワード検索の欄に「和室 小上がり」「土足禁止」とそのまま入れる方法もあります。楽天トラベル・じゃらんのどちらにも、施設名やこだわりキーワードを入力できる検索欄があり、宿側が書いた紹介文も検索対象になります。チェック項目には無い条件でも、宿が「小上がり」「畳コーナー」と紹介文に書いていれば、キーワードのほうが先に見つかります。ただし宿側がその言葉を使っていなければヒットしません。同じ設備を「畳スペース」と書いていたり、文章で触れていなかったりします。近道になることもあれば外れることも多い、という温度感で使います。
紙の旅行ガイドも1つの手がかりになります。『るるぶ』のような定番シリーズには、宿ごとの客室タイプや館内設備がアイコンや短い説明でまとまったページがあります。和室の有無を一覧で見比べるのに向いています。電波の届きにくい離島や山間部の宿を検討するときは、画面だけに頼らない情報源を1つ持っておきます。
宿ごとに、同じ設備を次のように言い換えています。
- 小上がり = 畳コーナー/畳スペース/小上がり和室/和のくつろぎスペース
- 土足禁止 = 館内は靴を脱いで/玄関で下足に履き替え/スリッパでお過ごしください
- 和室 = 和洋室/畳の間付き/ベッド+畳
フリーワードで1語だけ試して0件なら、この言い換えを順に入れます。ホテル系で小上がりを探すなら、「和洋室」で絞ってから写真で畳の範囲を見るほうが早く見つかります。
土足禁止の宿で起きること
土足禁止の宿には、条件を満たした先の小さな落とし穴があります。ベビーカーは玄関で預かりになり、部屋まで運べません。館内の移動は抱っこ紐になるので、荷物の多い家族は玄関から部屋までの距離をフロントに聞いておきます。畳の部屋にも注意点があります。畳の縁の段差でつまずく、障子や襖の紙を破る、床の間の掛け軸や花器に手が届く、といったことです。到着したら低い位置にある物を押し入れへ移し、座卓の角にはコーナーガードを貼ります。持ち物と到着後10分でやることは、赤ちゃん連れの宿選びのほうにまとめています。
小上がりも万能ではありません。段差のある小上がりは、つかまり立ちの時期には落ちる場所になります。消費者庁は、数十センチメートルの高さのベッドからの転落でも頭蓋骨骨折や頭蓋内損傷のおそれがあるとしています(消費者庁「0~1歳児のベッドからの転落事故に御注意ください!」2020年11月)。写真で段差の高さを見て、低ければ寝床、高ければ荷物置き、と使い方を先に決めておきます。
予約前に見る4つのポイント

1つ目は客室の写真です。畳の部屋でもベッドが併設された和洋室は多いので、床がどこまで畳かを写真で見ます。検索の項目では拾えない条件なので、ここは目で見るしかありません。2つ目は館内マップで、部屋までの動線に土足エリアが挟まっていないかを見ます。3つ目は口コミで、「靴を脱ぐタイミング」に触れている投稿があれば実際の運用が分かります。4つ目は電話確認です。写真や文章で判断がつかないときは、予約担当者に一言聞くのがいちばん早く確かめられます。
電話で聞く言葉は1つで足ります。「部屋まで靴のまま入りますか」。
この4つのうち、写真と口コミの一部までは検索サイトの絞り込みで済みます。館内マップと電話確認は、候補を2〜3件に絞った後の作業として残します。旅程の直前に慌てて確認することになりやすいので、出発の1か月前までに候補を確定させます。
同じ宿でも、楽天トラベルとじゃらんでは掲載プランと価格が違うことがあります。同じ部屋タイプでも、食事の有無やキャンセル条件の違うプランがそれぞれに載っているので、候補が決まったら両方で見比べ、最後に宿の公式サイトの直接予約プランも見ます。あなたが候補にしている宿は、3つのうちどこがいちばん安いでしょうか。
時期で変わる探しやすさ
畳の部屋は数が限られるので、連休や夏休みは早く埋まります。和室のある旅館は1施設あたりの客室数が少なく、家族向けの広い和室は数室しかないことがよくあります。3か月前に候補を出し、2か月前に電話確認、1か月前に確定、が余裕のある線です。逆に平日や連休明けは、和室のほうが空いていて価格も下がります。日程を動かせる家庭なら、床の条件と日程を同時に見ると選べる宿が増えます。
候補出しと詳細確認を分ける

楽天トラベルとじゃらんは「旅館」までは条件で絞れます。そこから先の「土足禁止」「小上がりの有無」は、検索サイトの外、つまり公式サイトの文章と写真、必要なら電話で埋めます。2つの予約サイトで候補を広く出し、公式サイトで細部を確認する、という役割分担がいちばん手間が少なく済みます。それぞれの得意・不得意を知っておくだけでも、探す順番に迷わなくなります。
床の条件が固まったら、寝床・食事・風呂の残り3つも合わせて確認します。予約サイトの検索は入り口として便利ですが、赤ちゃん連れの旅行では最後の詰めを自分の目と電話で行う前提で時間を組みます。宿泊費をどこまでかけるかは子連れ旅行の予算の立て方で、家族4人・2泊3日の内訳を試算しています。
次に読む
- 赤ちゃん連れの宿選び、見るべきは4つだけ ― 床・寝床・食事・風呂 ― 床以外の3条件と、電話で聞く5項目
- 子連れ旅行の予算の立て方: 交通費・宿・現地費用の内訳 ― 宿の単価をいくらに置くか
参考書籍(PR)
本文で触れた紙のガイドでは、定番の『るるぶ』シリーズが目的地ごとに宿の情報をまとめています。客室タイプや館内設備を一覧で見比べたいときの1冊です。離島の宿を検討するなら、離島を主題にした『地球の歩き方 島旅』シリーズのようなガイドもあります。現地の交通や宿の少なさを先に把握するときに使えます。
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免責
本記事は宿泊予約サイトの検索機能について、記事作成時点で確認できた内容をもとに紹介しており、各施設の設備や対応を保証するものではありません。検索項目やこだわり条件の内容は、各サービスの仕様変更により変わることがあります。最新の検索条件や館内設備の詳細は、各予約サイトおよび宿泊施設の公式情報でご自身で確認してください。
