保育料はいくらかかるか: 認可・認可外・無償化の範囲

先週、保育園に子どもを通わせている友人が「決定通知書を見たら、思っていたより安くて拍子抜けした」と話していた。3歳児クラスに上がった途端、保育料の欄が0円になっていたという。逆に、0歳児クラスで復職したばかりの同僚は「うちは月5万円近い」とこぼしていた。同じ「保育園に通わせている家庭」でも、保育料の実感はここまで違う。

保育料は子どもの年齢と世帯の住民税額で大きく変わる。3〜5歳児クラスは2019年10月の制度改正で、ほぼ全世帯が無償になった。一方、0〜2歳児クラスは住民税非課税世帯を除き、世帯の所得に応じた保育料がかかる。この記事では、認可保育所・認可外保育施設それぞれの無償化の範囲と、認可保育料の決まり方を整理したい。

保育料はどう決まるかの全体像フローチャート。3〜5歳児クラスは原則0円、0〜2歳児クラスは住民税非課税世帯なら0円、非課税世帯以外は所得階層で決定。概念図(実測データではありません)
保育料が決まるまでの流れ ※概念図(実測データではありません)
目次

3〜5歳児クラスは原則無償

幼稚園・保育所・認定こども園などを利用する3歳から5歳までの子どもは、利用料が無償化されている。こども家庭庁が示す制度の概要によれば、無償化の期間は満3歳になった後の4月1日から小学校入学前までの3年間で、幼稚園については月額上限2.57万円が設けられている。

ただし、通園送迎費・食材料費・行事費などは、これまでどおり保護者の負担になる。年収360万円未満相当世帯の子どもたちと、全世帯の第3子以降の子どもたちについては、副食(おかず・おやつ等)の費用が免除される。「3歳になったら保育料は基本かからない」と理解しておけば、大枠は間違いない。

幼稚園の預かり保育を利用している家庭も対象になる。市町村から「保育の必要性の認定」を受けたうえで、幼稚園の利用料に加えて、月内の預かり保育の利用日数に450円を掛けた額と、実際に支払った預かり保育の利用料を比較し、小さいほうの金額が月額1.13万円まで無償になる。共働きで預かり保育を毎日使っている家庭ほど、この上限を意識しておきたい。

0〜2歳児は非課税世帯のみ無償

0歳から2歳までの子どもたちについては、住民税非課税世帯を対象として利用料が無償化される。非課税世帯に該当しない家庭は、後述する認可保育料の仕組みで金額が決まる。

さらに、子どもが2人以上いる世帯の負担を軽減する仕組みもある。保育所等を利用する最年長の子どもを第1子とカウントし、0歳から2歳までの第2子は半額、第3子以降は無償になる。年収360万円未満相当世帯については、この第1子の年齢は問わない。上の子が小学生でも、下の子が0〜2歳児クラスの第2子・第3子としてカウントされる。

0〜2歳児クラスのきょうだい軽減の図。第1子は通常の保育料、第2子は半額、第3子以降は無償。概念図(実測データではありません)
きょうだい軽減の考え方(0〜2歳児クラス・最年長の子を第1子としてカウント。自治体独自の上乗せ軽減は別途ある) ※概念図(実測データではありません)

認可保育料はどう決まるのか

非課税世帯に該当しない0〜2歳児クラスの保育料は、世帯の住民税額をもとに決まる。保護者(父母)の現年度の住民税所得割額を合算し、いくつもの階層に区分して月額保育料を割り当てる仕組みが一般的だ。4月分から8月分までは前年度の住民税額で計算する。9月分から3月分までは当年度の住民税額に切り替わるため、年度の途中で保育料が変わることも珍しくない。

東京都大田区の保育料一覧表を例に見ると、階層の刻み方がよく分かる。住民税非課税世帯や生活保護世帯は0円、そこから所得割額30,000円未満・50,000円未満というように27段階の階層が並び、最上位の階層(所得割額600,000円以上)では0歳児クラスが月額71,800円、1・2歳児クラスが月額69,800円だった。3歳児クラス以上はどの階層でも無償化により0円だ。ただしこの表は令和7年8月分までのもので、同区は令和5年10月に第2子以降を無償化したのに続き、令和7年9月からは階層に関わらず全クラスの保育料を0円にしている。自治体独自の軽減がどこまで踏み込むかで、同じ所得でも自己負担は大きく変わる。

大田区の0円化は区だけの動きではない。東京都は令和7年9月から、都内の認可保育所等に通う0〜2歳児クラスの第1子の保育料を、所得制限なしで無償にする独自の助成を始めた。各区市の案内(例: 練馬区「第1子の保育料無償化」)を見ると、対象は認可保育所・認定こども園・小規模保育などだ。延長保育料や給食費などの実費は対象外とされている。都内に住むなら、この記事の階層表は「実費以外はかからない」と読み替えてよい。都外の自治体では従来どおり階層表で決まる。

0歳児クラスの保育料の階層イメージ(大田区・令和7年8月分まで)。非課税世帯0円から所得割60万円以上の71,800円まで5段階で例示。同区は令和7年9月から階層を問わず全クラス0円。出典は大田区「保育料階層の決定方法、お支払い」
0歳児クラスの保育料の階層イメージ(大田区・令和7年8月分まで/全27段階。同区は令和7年9月から階層を問わず全クラス0円) ※大田区「保育料階層の決定方法、お支払い」を基に作成

つまり、実際の負担額は「どの自治体に住んでいるか」で大きく変わる。階層の区切り方も、きょうだい軽減の内容も自治体ごとに異なるため、正確な金額は居住自治体の保育料一覧表で確認する必要がある。

決定された保育料は、入園月や保育料の切替月(多くの自治体で4月・9月)ごとに「保育料決定通知書」で知らされる。通知書のもとになる住民税決定通知書は、会社員であれば毎年5〜6月頃に勤務先経由で受け取り、自営業であれば自治体から直接届く。この通知書に記載されている「所得割額」の欄が、保育料の階層を決める基準の数字になる。手元に届いたら、まず所得割額を確認し、居住自治体の保育料一覧表のどの階層に当たるかを見ておくと、次の切替月に金額が急に変わっても慌てずに済む。

認可外保育施設等の無償化

認可保育所に入れず認可外保育施設や一時預かり事業、病児保育事業、ファミリー・サポート・センター事業などを利用している家庭にも、無償化の枠組みがある。市町村から「保育の必要性の認定」を受けることが条件だ。3歳から5歳までの子どもは月額3.7万円まで無償化される。0歳から2歳までの住民税非課税世帯の子どもは月額4.2万円までが対象になる。認可保育所などを利用できている子どもは、この認可外の無償化とは併用できない。

対象になる認可外保育施設は、一般的な認可外保育施設のほか、自治体独自の認証保育施設、ベビーシッター、認可外の事業所内保育などが含まれる。都道府県等への届出と、国が定める基準を満たしていることが条件になる。

2026年10月に上限額が引き上げられる

大阪市が案内している国の無償化制度の説明によれば、認可外保育施設等の無償化の上限額は、2026年10月利用分から引き上げられる。3歳から5歳までの上限は月額3.7万円から4万300円へ上がる。0歳から2歳までの住民税非課税世帯の上限は、月額4.2万円から4万5,700円になる。認可外保育施設や一時預かりを利用している家庭は、この秋の請求から上限額が変わる点を覚えておきたい。

認可外保育施設等の無償化上限額の比較図。3〜5歳児は3.7万円から4.03万円へ、0〜2歳児非課税世帯は4.2万円から4.57万円へ2026年10月に引き上げ。出典は大阪市「認可外保育施設等における幼児教育・保育の無償化について」
認可外保育施設等の無償化上限額の引き上げ(2026年10月から) ※大阪市「認可外保育施設等における幼児教育・保育の無償化について」を基に作成

無償化された利用料は、いったん施設に支払ったうえで自治体から払い戻される償還払いの方式を取っている自治体が多い。請求のタイミングや必要書類は自治体ごとに案内が届くため、見落とさないようにしたい。

保育料以外にかかる実費もある

保育料が無償や低額になっても、それだけで費用がゼロになるわけではない。給食費のうち主食費・副食費、教材費、遠足などの行事費、延長保育を使った場合の延長保育料は、多くの園で保育料とは別に実費請求される。3〜5歳児クラスで副食費が免除されるのは、年収360万円未満相当世帯の子どもと、全ての世帯の第3子以降の子どもだ。この条件に当てはまらない家庭は、副食費が実費としてかかると見込んでおきたい。金額は園ごとに設定されるため、入園前に重要事項説明書で確認しておくのが確実だ。

きょうだい構成でシミュレーションしてみる

友人の家庭は、上の子が5歳児クラス、下の子が1歳児クラスという構成だった。上の子の保育料は無償化で0円。下の子は住民税非課税世帯に該当しなかったため、大田区の一覧表でいう中位の階層に該当し、月2万円台の保育料がかかっていた。もし下の子が第2子として軽減の対象になれば、この金額はさらに下がる可能性がある。

一方、同僚の家庭は0歳児クラスの子ども1人だけで、非課税世帯にも該当しなかったため、階層表の上位に位置し、月5万円近い金額を負担している。同じ「保育園に子どもを通わせている」でも、年齢構成と所得階層のかけ合わせで金額はここまで開く。まずは自分の世帯がどの階層に位置するのか、住民税決定通知書の所得割額を確認するところから始めたい。

世帯構成で変わる月額保育料の目安の比較図。友人宅は5歳児クラス0円と1歳児クラス2万円台で月2万円台、同僚宅は0歳児クラス1人で月5万円近く。本文で紹介した家庭の例を基にした筆者の試算
世帯構成で変わる月額保育料の目安 ※本文で紹介した家庭の例を基に筆者が試算

保育料を確認する行動チェックリスト

  • 子どものクラスが3〜5歳児クラスか0〜2歳児クラスかを確認したか
  • 0〜2歳児クラスの場合、世帯が住民税非課税世帯に該当するかを確認したか
  • 非課税世帯でない場合、居住自治体の保育料一覧表で自分の所得割額の階層を確認したか
  • きょうだいがいる場合、居住自治体独自の軽減策(第2子半額・無償など)の対象かを確認したか
  • 認可外保育施設等を利用している場合、「保育の必要性の認定」の申請と2026年10月の上限額改定を確認したか

保育料は、年齢とクラス区分、世帯の住民税額、そして居住自治体の軽減策という複数の要素で決まる。全国一律の金額表があるわけではないため、最終的には自分の自治体のページで確認するのが確実だ。まずは住民税決定通知書を手元に用意し、居住自治体の保育料一覧表と照らし合わせてみてほしい。

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保育料は、これから十数年続く教育費の入り口にあたる支出だ。どこにお金をかけるかを考えるとき、中室牧子氏『「学力」の経済学』のように教育投資の効果をデータで検証した本は、比較の物差しとして使える。どの選択が正解かを決めてくれる本ではないが、「なんとなく高い方がよさそう」という感覚を一度立ち止まって見直す材料にはなる。(PR)

「学力」の経済学 [ 中室 牧子 ]

なお、保育料や無償化の上限額、階層区分は制度改正や自治体の条例改正で変わることがある。本記事は2026年8月時点の公表情報を整理したもので、個々の世帯の負担額を保証するものではない。正確な金額は必ず居住自治体の保育課・公式ページで確認したうえでご判断ください。

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この記事を書いた人

4人家族で妻、息子、娘で関西に新築建てて住んでいます。日々、家族の要望に応えられるように未来に関係しそうなことやお金に関すること調べてこっそり、生活に取り入れています。

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