2026年10月に、車の税金と車検の法定費用、保険や燃料を1年分で並べる方法を車の維持費のガイドにまとめ直しました。手放したときの自動車税の戻り方もガイドにあります。カーシェアの試算と、決める前の試し方は、この記事に残しています。
平日の送り迎えと週末の買い物にしか使わない車なら、手放してカーシェアや自転車に置き換える選択肢がある。決めるときは、全国平均ではなく、今払っている維持費と手放したあとにかかる費用を比べ、急な送迎への対応・月々の負担・手間の3つの基準に当てはめる。
車を手放す前に整理すること
はじめに、任意保険の継続案内、税金の通知書、点検の見積もりなど、維持費の書類を1か所に集める。1枚ずつはそれほど大きな額に見えなくても、束にすると年間の重さが分かる。
使う頻度と目的も書き出す。平日は保育園の送り迎え、週末は近所のスーパーとホームセンターへの買い物が中心で、遠出がたまにしかないなら、毎日長距離を走る使い方ではない。この前提が、手放すかどうかを考える出発点になる。
手放した場合の代わりの手段は、時間単位で借りられるカーシェア、必要なときだけ借りるレンタカー、自転車と公共交通機関の組み合わせが候補になる。
レンタカーは、24時間単位で借りる分には割安に見えるが、日帰りの買い物のたびに営業所へ出向いて手続きをする手間がかかる。カーシェアはアプリで予約から解錠まで完結する分、平日の細切れの利用に向く。
手放すとなれば、下取りや個人売買でいくらか戻ってくる可能性もある。ただし査定額は状態や時期によって変わり幅が大きい。売却額はあてにせず、維持費と代わりの手段の比較で判断し、売却額は決めた後についてくる副産物として扱う。
家族で話すときは、送り迎えを主に担当している人の心配を先に聞く。雨の日に自転車で送れるか、荷物が多い日はどうするかといった点は、季節や天候によって実際に不便を感じる場面だ。代わりの手段を1つに絞らず、複数を組み合わせる前提で試算する。
保育園の荷物や、週末にまとめ買いした食材を運ぶ場面も洗い出す。自転車の前かごだけでは収まらない荷物量の日が月に何回あるかを数え、出てきた条件はその都度メモに残して家族で共有する。
家計調査に見る自動車の重み
総務省の家計調査 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要によると、2025年の二人以上の世帯における消費支出は1か月平均314,001円で、このうち「自動車等関係費」は28,355円だった(総務省統計局、2026年2月6日公表)。
この項目は前年より増えている。ただし資料はその理由を、前年に一部自動車メーカーの生産・出荷停止があったことの反動だと説明していた。年ごとの上下が、そのまま各家庭の負担の変化を表すわけではないということでもある。

内訳をたどると、この数字の位置づけがもう少し見えてくる。「交通・通信」費目全体は1か月45,730円で、そのうち自動車等関係費が6割以上を占めていた。残りは、電車やバスの運賃にあたる「交通」が5,703円、携帯電話やインターネットの「通信」が11,672円だった。
通信費より自動車関係の支出のほうが大きい。ただしこの28,355円は、車を持たない世帯も含めた全世帯の平均であることに注意がいる。車を保有している家庭だけに絞れば実際の負担はこれより高いとみられるが、家計調査の公表資料にはその内訳までは出ていない。手元にある保険や税金の書類の合計は、全国平均とそのまま比べられる数字にはならない。
任意保険の等級や、駐車場が月極かどうかでも金額は大きく変わる。保険料や駐車場代を全国平均と比べて「高いか安いか」を判定しても、手放すかどうかの判断材料にはならない。比べる相手は、今払っている自分の家の金額と、手放した後にかかる金額の差だ。

手放した場合を試算する
カーシェアの料金は、タイムズカーの利用料金ページで確かめられる。ベーシッククラスの時間料金は15分220円で、24時間まで使っても最大6,600円だ(タイムズモビリティ、2026年9月17日確認)。走行距離が20kmを超えた分には、1kmあたり20円の距離料金が別にかかる。
月額基本料金もかかる。個人プランは880円で、同じ880円分が無料利用料金として利用料金に充当される。繰り越しはできないが、毎月ある程度使うなら基本料金がそのまま上乗せになるわけではない。

週1回、往復15km程度の買い物に3時間ほど使う場合で計算する。時間料金は15分220円が12コマ分で2,640円、これを月4回で10,560円になる。走行距離は20kmに届かないので距離料金はかからず、基本料金は無料利用料金で相殺される。
1年に換算すると126,720円になる。集めた書類から今の車の年間の維持費を出し、この額と並べて比べる。
これは、今の使い方をそのまま置き換えた場合の試算だ。遠出や荷物の多い日には時間料金より1日単位の最大料金を使うことになり、試算より膨らむ月も出てくる。

判断基準を並べる
数字が出そろったら、何を優先するかの基準を決める。1つ目は月々の固定費が軽くなるかどうか、2つ目は急な病院への送迎や悪天候の日にすぐ動ける手段を確保できるかどうか、3つ目は駐輪場や駐車スペースを探す手間がどれだけ減るかだ。
優先順位は家庭によって分かれる。子どもが小さいうちは急な発熱やけがで病院へ向かう場面があるので、月々の負担の軽さより、いざというときに動けるかどうかを先に置く考え方がある。その場合の順番は、急な送迎への対応、月々の負担、手間になる。

基準に当てはめてみる
急な送迎への対応で見ると、カーシェアは近くのステーションに車がなければ使えない。自宅から歩ける範囲にステーションがいくつあるかを、カーシェア会社のステーション検索で確かめる。悪天候の日や連休は、他の利用者と予約が重なることがある。この点は車を保有する場合より劣る。
一方で月々の負担は、試算の月10,560円が家計調査の自動車等関係費の全世帯平均28,355円を下回り、カーシェアのほうが軽い。手間については、洗車や点検の予定を自分で管理する必要がなくなる分、カーシェアのほうが少ない。ガソリンスタンドに寄る手間や、バッテリー上がりを心配する必要もなくなる。
3つの基準のうち2つでカーシェアが有利になり、急な送迎への対応だけが劣る。判断の分かれ目は、この劣る点をどこまで許容できるかにある。悪天候の日に空車が見つかるかどうかは、手放す前に実際の予約画面で確かめる。

手放す前に送り迎えを試す
決める前に、平日の送り迎えを1週間ほど自転車に切り替えて試す方法がある。確かめる点は、坂道の有無と体力の負担、雨の日の代わりの手段、家を出る時刻がどれだけ早まるか、ヘルメットや着替えを積んだときの荷物の重さだ。
雨の日は、レインコートでしのげる日と、雨脚が強くてタクシーを呼ぶ日に分かれる。子どもを後ろに乗せる自転車は、慣れるまで速度を落として走る。
雨の強い日は自転車が使えない。代わりの手段を1つに絞らず、自転車・カーシェア・タクシーを状況に応じて使い分ける前提にする。
決めたあとに見直すこと
平日の送り迎えを自転車にし、週末の買い物と急な用事にカーシェアを組み合わせる形なら、悪天候の日だけ別の方法で乗り切れば済む。この形で暮らしが回ると見通せたら、手放す判断に進める。

手放した後は、悪天候の日にステーションの車が埋まって予約が取れない日もある。その日に使うタクシー代も、月の費用の見込みに入れておく。子どもの発熱で病院へ向かうときに近くのステーションに空きがなければ何で向かうかも、あらかじめ決めておく。
通園先が変わって送り迎えの距離が伸びたときは、同じ基準のままでいいかを見直す。そのときは、使う頻度と目的を書き出すところからやり直す。基準は、暮らし方が変わるたびに見直す前提で決める。
手放すかどうかを決める前に、維持費の書類1年分の合計と、週の使い方(回数・距離・時間)を書き出し、自宅から歩ける範囲のカーシェアのステーションを確かめる。
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本文の金額は2026年9月時点で総務省統計局および各社公式サイトを基に確認した情報であり、実際の費用は使用頻度や地域、契約時期によって異なります。車を手放すかどうかを検討する際は、ご自身の使用実態を洗い出したうえで、家庭ごとの事情に照らしてご判断ください。
