出産費用の自己負担の計算:一時金との差額と帝王切開の目安

出産の費用は、健康保険から出る出産育児一時金(子1人につき原則50万円)で払い、足りない分を自分で払います。出産の形と、費用の見込みの出し方(都道府県の平均、施設の種類の平均、施設の料金のどれか)を選ぶと、一時金を引いたあとに窓口で払う額の目安を出します。一時金の方が多いときの結果は、受け取れる差額です。

平均の数字は、厚生労働省が公表した令和6年度の正常分娩の平均出産費用です。帝王切開などで保険診療が入るときは、医療費の3割に高額療養費の上限をかけた額を足します。実際の支払いは、出産する施設の料金と、出産のときの処置で決まります。

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1出産の形

帝王切開、吸引分娩、鉗子分娩などの産科手術や処置が行われた出産は、健康保険では異常分娩として扱われ、その部分に保険が使われます。予定の帝王切開のほか、保険診療が入った場合の額を見ておきたいときも、下を選んでください。

2費用の見込みの出し方

平均は、厚生労働省が公表した令和6年度の正常分娩の平均です。出産する施設の料金がわかっていれば、料金を入れる方が実際に近くなります。

里帰り出産なら、里帰り先の都道府県を選ぶと、その地域の平均で見られます。かっこ内は令和6年度の正常分娩の平均出産費用です。

出産する施設の種類

料金表や見積もりにある総額です。個室料や産科医療補償制度の掛金も含めた合計を入れます。

保険の対象にならない分の合計です。分娩介助料、新生児の管理保育料、個室料、産科医療補償制度の掛金などを含めます。保険診療の自己負担は、問5の医療費から別に計算して足します。

万円
施設は産科医療補償制度に入っていますか

入っている施設で妊娠22週以降に出産すると、一時金は50万円です。入っていない施設では48.8万円です。対象の出産は、明細書に「産科医療補償制度の対象分娩です。」と書かれます。

3出産の時期

高額療養費の上限額は2026年8月に上がり、2027年8月からは所得の区分が細かく分かれます。入院が月をまたぐときは、月ごとに計算されます。

会社員や公務員として健康保険に入っている人は本人の標準報酬月額で、家族として扶養に入っている人は扶養している人の標準報酬月額で決まります。国民健康保険の人は旧ただし書き所得で決まります(区分ごとの所得は、下の「計算の前提」にあります)。かっこ内は年収のおおよその目安です。

先に「出産の時期」を選ぶと、ここに区分が出ます。

施設から見込みを聞いていれば、保険が使われる分の医療費の総額(3割を払う前の額)を入れます。空欄のときは、分娩に関わる保険診療があった出産の平均41.6万円で計算します(協会けんぽの令和6年度のデータから当サイトが割り算した値)。

万円

窓口で払う額の目安

0円

 

    請求額と出産育児一時金

    内訳

    単位は円です。直接支払制度を使うと、施設の請求額から出産育児一時金が差し引かれます。

    項目金額

    保険診療の自己負担と高額療養費の上限

     

    所得の区分この医療費での上限額自己負担

    別に受け取れるお金

    住民票のある市区町村から「妊婦のための支援給付」が出ます。医療機関で胎児の心拍が確かめられたあとに申請すると5万円、出産予定日の8週間前から子の人数を届け出ると、子の人数×5万円です(子1人なら合計10万円)。受け取り方は、自治体によってクーポンなども選べます。出産の費用とは別の給付なので、この計算には入れていません。

    この結果の読み方

    この結果を読む前に

    計算に使った公表資料(2026年9月29日に確認・クリックで開きます)
    • 厚生労働省「医療保険制度における出産に対する支援の強化について」(第204回社会保障審議会医療保険部会 資料2、2025年11月20日)。都道府県別の正常分娩の平均出産費用と平均妊婦合計負担額(令和6年度。資料右下の番号10と11)、施設の種類ごとの平均出産費用の推移(番号9)、分娩に関わる保険診療の件数と療養の給付額の推計(番号16)は、この資料によります。第204回 医療保険部会 資料2(PDF)
    • 厚生労働省「医療保険制度における出産に対する支援の強化について」(第201回社会保障審議会医療保険部会 資料1、2025年10月23日)。出産育児一時金は原則50万円で、本人支給分48.8万円と産科医療補償制度の掛金分1.2万円からなります(番号9)。都道府県別の平均出産費用(番号12)は、第204回の資料と同じ値です。第201回 医療保険部会 資料1(PDF)
    • 厚生労働省「出産費用の状況等について」(第186回社会保障審議会医療保険部会 資料4、2024年11月21日)。公的病院・私的病院・診療所の分け方(番号4)と、令和6年度上半期の都道府県別の値(番号9と10)が載っています。上半期の値は、令和6年度の47都道府県の値を写し間違えていないか照らし合わせるために使いました。第186回 医療保険部会 資料4(PDF)
    • 厚生労働省「出産育児一時金等について」。直接支払制度・受取代理制度・償還払い制度の3つの受け取り方、費用の総額が一時金を下回ったときの差額、申請の期限(出産日の翌日から2年以内)、支給の要件(妊娠4か月・85日以上の出産)は、このページによります。出産育児一時金等について
    • 厚生労働省「出産育児一時金等の医療機関等への直接支払制度」実施要綱(2025年6月20日以降)。一時金の額(50万円、産科医療補償制度の対象にならない出産は48万8千円)、専用請求書の費目(保険診療で分娩した場合は分娩料の代わりに分娩介助料がかかり、一部負担金と食事療養の標準負担額も妊婦合計負担額に入ること)、保険診療になりそうな妊婦に限度額適用認定証の入手を勧めることが書かれています。直接支払制度実施要綱(PDF)
    • 全国健康保険協会(協会けんぽ)「出産育児一時金」。支給額の表(2023年4月1日以降の出産)、多胎は子の数だけ出ること、差額の申請書を出産後おおむね3か月で送ること、帝王切開などは高額療養費の対象になることが載っています。協会けんぽ「出産育児一時金」
    • 協会けんぽ「高額療養費」。70歳未満の所得区分ごとの自己負担限度額(2026年8月から2027年7月まで)、総医療費は保険が使われる診察費用の総額(10割)であること、入院時の食事の自己負担は対象にならないことが載っています。協会けんぽ「高額療養費」
    • 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」と「高額療養費制度の見直しについて(令和8年8月診療分から)」。2027年8月からの13の区分、国民健康保険の旧ただし書き所得による区分、年収のおおよその目安、70歳未満の負担割合が3割であること、マイナ保険証か限度額適用認定証を使うと窓口の支払いが上限額までになることは、この2つによります。高額療養費制度を利用される皆さまへ/見直しの資料(PDF)
    • こども家庭庁「妊婦のための支援給付のご案内」。妊婦給付認定のあとに5万円、妊娠しているこどもの人数の届出のあとに人数×5万円です。妊婦のための支援給付のご案内(PDF)
    • 厚生労働省「健康保険法等の一部を改正する法律(令和8年法律第31号)の概要」。出産育児一時金に代わる給付の方式は5頁にあり、その施行は、公布(2026年6月5日)から2年以内に政令で定める日です(1頁・11頁)。改正法の概要(PDF)
    • 厚生労働省「出産なび」。出産する施設ごとの出産費用の平均額などを調べられます。出産なび
    計算の前提と、当サイトが置いた仮定(2026年9月29日に確認・クリックで開きます)
    • 出産育児一時金:2023年4月1日以降の出産は、産科医療補償制度に入っている施設で妊娠22週以降に出産すると、子1人につき50万円です。入っていない施設での出産と、22週に達しない出産は48.8万円です。ふたご以上は子の人数分が出ます。対象は妊娠4か月(85日)以上の出産で、出産した時点で入っている健康保険から出ます。50万円のうち1.2万円は産科医療補償制度の掛金分で、本人支給分は48.8万円です。この計算は、子1人の出産で出しています。
    • 直接支払制度:施設が本人に代わって一時金を申請して受け取り、窓口では請求額が一時金を超えた分だけを払います。請求額が一時金より少ないときに差額を申請する先は、入っている健康保険です。直接支払制度を使わない施設では、本人が申請して施設が受け取る受取代理制度か、窓口でいったん全額を払ってあとで申請する償還払いになります。申請の期限は、出産日の翌日から2年以内です。
    • 都道府県別の平均:厚生労働省が、直接支払制度の請求データ(令和6年度)から出した正常分娩の平均です。「平均出産費用」は、請求の合計(妊婦合計負担額)から室料差額(個室料など)、産科医療補償制度の掛金、「その他」(文書料、お祝い膳など)を除いて出しています。「平均妊婦合計負担額」は、これらを含めて実際に請求された額です。47都道府県の値は、この一覧のいちばん下の表にあります。最も高いのは東京都の648,309円、最も低いのは熊本県の404,411円、全国は519,805円です。
    • 施設の種類ごとの平均(全国・令和6年度・正常分娩の平均出産費用):公的病院48.4万円、私的病院53.7万円、診療所(助産所を含む)52.6万円、全施設52.0万円です。万円の小数1けたで公表された値を、円に直して使っています。公的病院は国公立病院・国公立大学病院・国立病院機構など、私的病院は私立大学病院・医療法人病院・個人病院など、診療所は官公立診療所・医療法人診療所・個人診療所・助産所です。施設の種類ごとの妊婦合計負担額は数字で公表されていないため、この見方では室料差額などを除いた額だけで計算します。
    • 自己負担の出し方:平均で見るときは、平均出産費用に産科医療補償制度の掛金12,000円を足した額を請求額とし、一時金50万円を引いています(平均出産費用は掛金を除いた額のため)。個室料なども含めた平均では、平均妊婦合計負担額から一時金50万円を引いています。料金を入れたときの差し引きは、入れた額から一時金(産科医療補償制度に入っていない施設は48.8万円)を引いた額です。差し引きがマイナスになるときは、その額を受け取れる差額として出します。
    • 保険診療の自己負担:70歳未満は医療費の3割で、この計算では10円未満を四捨五入しています。同じ月の自己負担が上限額を超えた分は高額療養費として戻り、マイナ保険証か限度額適用認定証を使うと、窓口の支払いが上限額までになります。上限額の式の「医療費」は、保険が使われる診療の総額(10割)です。1%の部分の1円未満は四捨五入しています。区分は、健康保険は被保険者の標準報酬月額、国民健康保険は旧ただし書き所得で決まり、かっこ内の年収は厚生労働省が示すおおよその目安です。
      • 2026年8月から2027年7月まで(70歳未満)
        • ア 標準報酬月額83万円以上(国民健康保険は旧ただし書き所得901万円超、年収約1,160万円〜):270,300円+(医療費-901,000円)×1%
        • イ 標準報酬月額53万〜79万円(国民健康保険は旧ただし書き所得600万〜901万円、年収約770万〜1,160万円):179,100円+(医療費-597,000円)×1%
        • ウ 標準報酬月額28万〜50万円(国民健康保険は旧ただし書き所得210万〜600万円、年収約370万〜770万円):85,800円+(医療費-286,000円)×1%
        • エ 標準報酬月額26万円以下(国民健康保険は旧ただし書き所得210万円以下、年収約370万円まで):61,500円
        • オ 住民税非課税:36,900円
      • 2027年8月から(70歳未満)
        • 標準報酬月額127万円以上(国民健康保険は旧ただし書き所得1,356万円超、年収約1,650万円〜):342,000円+(医療費-1,140,000円)×1%
        • 標準報酬月額103万〜121万円(国民健康保険は旧ただし書き所得1,110万〜1,356万円、年収約1,410万〜1,650万円):303,000円+(医療費-1,010,000円)×1%
        • 標準報酬月額83万〜98万円(国民健康保険は旧ただし書き所得901万〜1,110万円、年収約1,160万〜1,410万円):270,300円+(医療費-901,000円)×1%
        • 標準報酬月額71万〜79万円(国民健康保険は旧ただし書き所得809万〜901万円、年収約1,040万〜1,160万円):209,400円+(医療費-698,000円)×1%
        • 標準報酬月額62万〜68万円(国民健康保険は旧ただし書き所得679万〜809万円、年収約950万〜1,040万円):194,400円+(医療費-648,000円)×1%
        • 標準報酬月額53万〜59万円(国民健康保険は旧ただし書き所得600万〜679万円、年収約770万〜950万円):179,100円+(医療費-597,000円)×1%
        • 標準報酬月額44万〜50万円(国民健康保険は旧ただし書き所得410万〜600万円、年収約650万〜770万円):110,400円+(医療費-368,000円)×1%
        • 標準報酬月額36万〜41万円(国民健康保険は旧ただし書き所得313万〜410万円、年収約510万〜650万円):98,100円+(医療費-327,000円)×1%
        • 標準報酬月額28万〜34万円(国民健康保険は旧ただし書き所得210万〜313万円、年収約370万〜510万円):85,800円+(医療費-286,000円)×1%
        • 標準報酬月額20万〜26万円(国民健康保険は旧ただし書き所得127万〜210万円、年収約260万〜370万円):69,600円
        • 標準報酬月額16万〜19万円(国民健康保険は旧ただし書き所得86万〜127万円、年収約200万〜260万円):65,400円
        • 標準報酬月額15万円以下(国民健康保険は旧ただし書き所得86万円以下、年収約200万円まで):61,500円
        • 住民税非課税:36,900円
    • 保険診療の医療費の目安(41.6万円):協会けんぽの令和6年度のデータで、分娩に関わる保険診療(異常分娩)の診療報酬があった138,254件の療養の給付額(決定点数を集計した医療費の額)の合計5,753,906万円を、件数で割った416,184円です。資料の数字から当サイトが割り算しました。出産の3日前から7日後までを含む月の入院の診療報酬明細書を集めた値で、帝王切開のほか、吸引分娩などの処置も含みます。
    • 帝王切開などの保険外の費用:保険診療が入った出産で、保険の対象にならない費用の平均は公表されていません。平均で見るときは、正常分娩の平均出産費用を仮に置いています。直接支払制度の専用請求書の費目では、保険診療で分娩した場合は正常分娩の分娩料の代わりに分娩介助料がかかり、保険診療の一部負担金と入院中の食事の標準負担額も請求額(妊婦合計負担額)の一部です。この請求額にも一時金が使われます。
    • 妊婦のための支援給付:医療機関で胎児の心拍が確かめられたあとに住民票のある市区町村に申請すると5万円、出産予定日の8週間前から子の人数を届け出ると子の人数×5万円です。流産や死産の場合も対象です。出産の費用とは別の給付なので、計算には入れていません。
    • 出産の新しい給付:出産育児一時金に代わる新しい給付の方式(保険診療以外の分娩について国が決める基本単価を健康保険から施設へ直接払う形と、すべての妊婦への定額の現金給付)は、健康保険法等の一部を改正する法律(令和8年法律第31号、2026年6月5日公布)に盛り込まれました。始まる日は公布から2年以内に政令で決めることになっていて、まだ決まっていません。基本単価は告示で、現金給付の額は政令で決まります。始まったあとも、当分の間は施設の選択で今の出産育児一時金のままにできます。この計算は、今の出産育児一時金で出しています。
    • 当サイトが置いた仮定:次の6つは、計算を簡単にするために当サイトが置いた仮定で、制度で決まったことではありません。「生まれる子は1人」「平均で見るときは、出産する施設の料金が選んだ平均と同じ」「帝王切開などの保険外の費用は、平均で見るときは正常分娩の平均と同じ」「保険診療の医療費がわからないときは416,184円」「保険診療は1か月の中で終わる(月をまたがない)」「所得の区分がわからないときは、2027年7月までは区分ウ、2027年8月からは標準報酬月額28万〜34万円の区分」。
    • 入れていないもの:妊婦健診の自己負担、入院中の食事の標準負担額(高額療養費の対象外)、高額療養費の世帯合算・多数回該当・年間上限(月の上限と年間上限は高額療養費の上限額の計算で出せます)、健康保険組合などが独自に上乗せする給付(付加給付)、出産手当金や育児休業給付、医療費控除、里帰りの交通費など施設への支払い以外の費用。
    • 都道府県別の平均の表(令和6年度・正常分娩・単位は円)
    都道府県平均出産費用平均妊婦合計負担額
    北海道453,579500,686
    青森県418,787484,523
    岩手県471,547520,061
    宮城県526,211620,181
    秋田県445,027495,295
    山形県526,472581,823
    福島県485,687554,456
    茨城県531,021612,957
    栃木県507,736599,283
    群馬県525,253586,073
    埼玉県533,274611,874
    千葉県529,835613,506
    東京都648,309754,243
    神奈川県586,664666,820
    新潟県509,563566,412
    富山県516,401577,184
    石川県495,022554,882
    福井県458,688525,977
    山梨県507,616560,026
    長野県509,513559,940
    岐阜県512,685560,758
    静岡県507,354567,452
    愛知県534,767600,896
    三重県484,940571,474
    滋賀県486,610586,337
    京都府483,095554,744
    大阪府492,842574,086
    兵庫県515,350587,176
    奈良県489,016555,786
    和歌山県443,505523,860
    鳥取県419,150473,212
    島根県473,601538,348
    岡山県510,815566,767
    広島県503,176549,998
    山口県451,531506,960
    徳島県481,528553,136
    香川県470,825537,625
    愛媛県475,608540,204
    高知県428,022512,909
    福岡県491,359557,100
    佐賀県453,609507,460
    長崎県475,256528,706
    熊本県404,411460,634
    大分県456,710501,653
    宮崎県437,034489,987
    鹿児島県446,123499,714
    沖縄県419,897492,141
    全国519,805592,907

    この計算は、公表されている平均と制度の数字をもとにした目安で、実際の請求額や給付額を決めるものではありません。出産費用は出産する施設が決め、出産育児一時金と高額療養費は入っている健康保険(協会けんぽ、健康保険組合、共済組合、国民健康保険など)が決めます。個別のことは、出産する施設と、入っている健康保険の窓口で確かめてください。特定の施設や商品、サービスの利用を勧めるものではありません。