家計簿アプリで固定費を見直していたら、携帯代の欄だけ他の項目より高止まりしている、という話をよく聞く。電気代やサブスクは見直したのに、スマホの料金プランだけは契約したときのまま、という家庭も珍しくない。世帯全体の通信費は下がってきているのに、我が家の携帯代だけは何年も同じ金額のまま。この落差が見直しの入口になる。
通信費は下がっているのに高止まりする
総務省の家計調査によると、二人以上の世帯の「通信」にかかる月平均支出は2025年で11,672円だった。前年に比べて実質4.9%の減少で、「交通・通信」の内訳の中でも通信だけが減少に転じている。世帯全体では通信費が下がる方向にあるということになる(総務省「家計調査報告 2025年(令和7年)平均結果の概要」)。
ただしこれは世帯全体の平均であり、下がった家庭と下がっていない家庭が混ざった数字だ。大手キャリアの料金プランをそのまま契約し続けている世帯と、オンライン専用プランや格安SIMに乗り換えた世帯とでは、実際の負担額にまだ大きな差が残っている。

大手・オンライン専用・格安SIMの価格差
具体的にどれくらい差があるのか。大手キャリアの大容量プランを見ると、ドコモの「ドコモMAX」(データ無制限)は基本料金が月8,448円で、家族割やドコモ光とのセット割など各種割引を最大まで適用しても月5,148円までしか下がらない(NTTドコモ公式サイト)。
一方、同じドコモ回線を使うオンライン専用プランの「ahamo」は、データ30GB・国内通話5分無料込みで月2,970円だ(ahamo公式サイト)。格安SIM(MVNO)の「mineo」まで下げると、通話付きの15GBプランが月1,958円になる。3GBまで容量を絞れば月1,298円だ(mineo公式サイト)。ahamoは大手の無制限プランより使えるデータ量こそ少ないが、料金は5,000円以上安い。容量と料金は比例していない、というのが数字の示すところだ。

格安SIMに向く人・向かない人
数字だけ見れば格安SIMが正解に思える。では、誰が乗り換えて得をするのだろうか。実際には向き不向きがはっきり分かれる。データ通信量が毎月3〜20GBに収まる人、店頭サポートより自分でアプリの設定ができる人、家族間通話をあまり使わない人であれば、格安SIMへの乗り換えで負担を大きく減らせる可能性が高い。
逆に、動画視聴やゲームで毎月50GB以上使う人、格安SIMの通信速度低下(昼休みや夕方の混雑時間帯)が気になる人、家族割引や店頭サポートを重視する人は、乗り換えても満足度が下がることがある。まずは自分の月間データ使用量を確認するところから始めたい。

乗り換えで見落としやすい3つの費用
価格差だけを見て乗り換えを決めると、思わぬところで手間と出費が戻ってくる。ひとつはキャリア決済(携帯料金と合算した支払い)だ。これで払っているサブスクやアプリ課金は、乗り換え後に支払い方法を組み直すことになる。ふたつめは家族割引で、自分だけ抜けると残った家族の割引額が減ることがある。家計全体で見ると、自分の下がった分が家族の上がった分に食われる形になりかねない。三つめはキャリアメール(〇〇@docomo.ne.jpなど)だ。乗り換え後も一定期間有料で転送できるサービスがあるかを、契約前に確認しておきたい。
2台分でいくら差が出るか
夫婦2人分のスマホで試算してみる。ドコモMAXを基本料金のまま2回線契約すると、月16,896円(8,448円×2)になる。仮にmineoの15GBデュアルタイプ(月1,958円)に2回線とも乗り換えると、月3,916円で済む計算だ。差額は月12,980円、年間では15万円を超える。もちろん実際は各種割引が適用されるケースが多いので、この差がそのまま出るわけではないが、乗り換えの効果を測る一つの目安にはなる。
格安SIMへの乗り換えは、固定費の見直しの中でも効果が大きい部類に入る。効果の大きさそのものについては、以前の記事「固定費の見直し、効果が大きい順に並べるとどうなるか」でも扱った。

乗り換え前に確認すること
- 直近3か月の月間データ使用量を、契約中のキャリアのマイページやアプリで確認する。平均が20GBを超えないなら格安SIMの候補は広がる。
- キャリア決済で支払っているサブスク・アプリ課金を洗い出し、乗り換え後の支払い方法をどうするか先に決めておく。
- 家族割引を使っている場合は、自分が抜けたときの家族全体の割引額の変化を確認する。
- キャリアメールを使い続けたいアカウント(銀行・行政サービスなど)があれば、乗り換え前にメールアドレスの変更手続きを済ませておく。
- MNP(電話番号そのまま乗り換え)の手数料や、契約事務手数料の有無を乗り換え先の公式サイトで確認する。

迷ったら、まずは自分の使い方に近いオンライン専用プラン(ahamoなど)を試し、それでも高いと感じたら格安SIMへとさらに一段階下げる、という2段階で考えると失敗しにくい。
通話料の条件も忘れずに比べる
データ容量の安さばかりに目が行きがちだが、通話料の条件も家庭によっては差が大きい。ahamoは5分以内の国内通話が無料で、5分を超えた分は30秒22円かかる。かけ放題オプションを付けると月1,100円が追加される。mineoの場合は国内通話が30秒22円で、時間無制限のかけ放題オプションは月1,210円だ。10分かけ放題は月550円が別料金になる。実家への電話や仕事の電話で長話をする習慣がある人は、データ容量より通話条件を先に比較したい。そのほうが実際の支払額を見誤らずに済む。
通話をほとんどLINEやビデオ通話で済ませている家庭なら、通話料はほぼ気にしなくてよい。逆に高齢の親と固定電話代わりに使っている場合は、かけ放題オプション込みの総額で比較する。
子どものスマホ回線にも応用できる
子どもが小学校高学年から中学生になるタイミングでスマホを持たせる家庭は多いが、子ども用の回線こそデータ容量を絞りやすい。学校でのSNS利用や動画視聴を制限する方針であれば、月3GB程度の格安SIMプランで十分足りることが多い。子ども用に大容量プランを契約してから、あとで使用量を確認して減らすより、最初から小容量で契約し、実際に不足したときだけ容量を追加する方が、結果的に無駄が出にくい。
子ども名義の回線を作る場合は、フィルタリングサービスの有無や、位置情報共有アプリが使えるかどうかも、料金と合わせて確認しておきたい。格安SIMの中にはこうしたサービスが標準で付いていない事業者もある。
乗り換え手続きの流れ
電話番号をそのまま引き継いで乗り換える場合、現在は多くのキャリアでMNP予約番号の発行手続きがオンラインで完結し、乗り換え先の申し込み時にその番号を入力するだけで済むようになっている。店頭に行かずスマホひとつで完結する事業者も増えた。手続き自体は早ければ即日〜数日で終わるが、SIMカードの配送を待つ形式だと数日、eSIM対応端末であれば申し込み当日中に切り替えが完了することもある。
乗り換え作業をしている間、一時的に通話やデータ通信が使えなくなる時間帯が発生することもある。仕事で電話を頻繁に使う人は、休日や連休前など、多少の空白時間があっても困らないタイミングを選んで手続きを進めるほうが安心だ。
格安SIMという言葉に一括りにされがちだが、実際には数十社が異なる料金体系・速度・サポート水準でサービスを提供している。1社を見て「格安SIMは自分には合わない」と判断するより、いくつかの候補を並べて比較したほうが、思っていたより条件に合う一社が見つかることもある。
間を取るならサブブランドという手も
一気に切り替えるのはハードルが高いと感じる場合、大手キャリアのサブブランド(ドコモのirumo、auのUQ mobile、ソフトバンクのワイモバイルなど)という中間の選択肢もある。オンライン専用プランほど自分で設定する場面は多くない。料金は本家のプランよりは抑えられており、店頭サポートを残したまま料金だけ見直したい人に向いている。
格安SIMの通信速度は、平日の昼休みや夕方の帰宅ラッシュ時に遅くなることがある。大手キャリアの回線を間借りする仕組み上、利用者が集中する時間帯は速度が落ちやすいという構造的な事情があるためだ。動画をよく見る、仕事でオンライン会議を頻繁にする、といった使い方をする人は、契約前に口コミだけでなく、可能であれば1か月だけお試しで使ってみる、あるいは家族や同僚に速度の体感を聞いてみるとよい。
まとめ: まず自分の使用量を知る
格安SIMへの乗り換えは、効果が大きい割に一度設定すればあとの手間がかからない、固定費見直しの中でも取り組みやすい部類に入る。ただし、闇雲に「安いから」で選ぶと、通話料やキャリアメール、サブスクの支払い方法でつまずくことがある。まず直近のデータ使用量と通話習慣を確認し、そのうえで自分の使い方に合ったプランを選ぶという順番を守れば、乗り換え後に後悔する可能性は下げられるはずだ。
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固定費を削った先をどうするかまで書いてあるのが『ジェイソン流お金の増やし方』(厚切りジェイソン)で、支出を絞る話とインデックス投資の話が1冊につながっている。通信費のように毎月自動で出ていくお金を止めると、その分がそのまま積立に回せる。固定費の見直しを「節約」で終わらせずに次につなげたい人向けの、比較対象の一つとして挙げておく。
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免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の通信事業者・料金プランへの加入を勧めるものではありません。掲載している料金は記事作成時点のものであり、各社の料金プラン・キャンペーンは変更される場合があります。どのプランが合うかは、ご家庭のデータ使用量や通話の習慣によって異なります。契約・乗り換えの前には、必ず各事業者の公式サイトで最新の条件をご確認ください。
