引っ越しで固定費を見直すなら、最初に動かすもの

「引っ越しの固定費は最初に動かすもの」「開通や予約に時間がかかる契約から先に動く」の文字と、住まいの色の地に家の絵

引っ越しで切り替える電気・ガス・水道・インターネット・火災保険は、受付が始まる時期も締切も契約ごとに違う。動かす順番は、開通や予約に時間がかかる契約が先で、インターネット回線の申し込みとガスの立会い予約、火災保険の住所変更の連絡、電気の使用開始・中止、水道の順に進める。

目次

5つの契約は締切が別々

固定費の切り替えは、契約を変える作業そのものより、どの順番で連絡するかで手間が変わる。電気・ガス・水道・インターネット・火災保険という5つの契約は、それぞれ管轄も手続きの締切も別々だ。まとめて「引っ越しの手続き」と考えていると、締切の早いものから抜け落ちていく。

各社の公式サイトに載っている受付開始・締切・立会いの要否で並べると、締切の順番は料金の高い順とも、手間のかかる順とも一致しない。

ガスだけ立会いがいる

電気は、使用開始・中止の連絡だけで済む。東京ガスの公式サイトでは、電気・ガスとも引っ越しの2ヶ月前から手続きを受け付けているとされている。受付が始まる時期だけを見れば、余裕のある契約だ。

ガスの開栓に必要な立会いと予約の条件(2026年4月30日更新)
ガスの開栓に必要な立会いと予約の条件(2026年4月30日更新) ※東京ガス「新居のガスを開栓する方法は?」を基に作成

ガスは事情が違う。東京ガスの公式コラムによると、ガスの開栓には立会いが必要で、これは安全のために法律で義務付けられているという。専門の資格を持つ担当者がその場で確認し、使用方法や注意事項を説明する必要があるからだ。電気や水道の使用開始で立会いが要らないのとは、そこが違う。

同じコラムには、訪問時間帯は9時から19時まで(日曜・祝日は17時まで)と書かれている。引っ越しシーズンの2月末から4月初旬はどの時間帯も混み合うため、数日前までに立会い日の予約を済ませておくとよいとされている。東京ガス自身が「電気よりも先にガスの手続きを進めること」を勧めているのは、この時間の制約があるからだ。

立会いが難しい日程しか取れないときは、代理人を立てられる。家族や知人、賃貸なら大家さんなど、信頼できる人であればよい。ただし当日は代理人に対してガスの使用上の注意が説明されるため、後から内容を伝えてもらう必要がある。申し込みの時点で代理人の氏名と続柄を伝えておく形だ。

電気のほうは、新居にスマートメーターが付いているかどうかで当日の扱いが変わる。設置済みならウェブの申し込みだけで完結し、入居当日から使える状態になる。設置されていない場合は取り付けの日程調整が入るので、その分だけ前倒しが要る。

電気にも、切り替えの時期に条件がある。すでに他社の電気を数日でも使っている状態から切り替える場合、いまの電力会社の次の検針日以降でないと新しい契約に切り替わらない。検針日は地域によって異なるので、切り替えたつもりの日にまだ前の会社のままだった、ということも起こりうる。

回線の「2週間」を疑う

インターネット回線は、電気・ガス・水道とはまったく違う時間感覚で動く。回線の販売代理店のページには「お手続きから開通まで通常約2週間程度」と書いたものがあるが、代理店は一次情報ではない。

NTT東日本自身のよくあるご質問には、「一般的に、お申し込みから開通まで約1ヶ月程度でご利用いただけます」とあり、利用場所の設備状況によって開通までの期間は異なるとしている。代理店の2週間と公式の約1ヶ月では、倍の開きがある。

公式の案内から組み立てた、引っ越し前に動き出す時期の目安
公式の案内から組み立てた、引っ越し前に動き出す時期の目安 ※東京ガス・東京都水道局・NTT東日本の公表値を基に筆者が試算

2週間という数字は、別の意味でも出てくる。NTT東日本の別のページは、電話回線の移転手続きについて、引っ越しの2週間前までに申し込むことを推奨している。こちらの2週間は申し込みの締切の目安で、開通までの期間とは性質が違う。代理店のページが間違いだと決めつけることはできないが、設備状況しだいで延びると書いているのは提供元のほうだ。長いほうの数字で段取りを組んでおけば、早く開通したときに困ることはない。

開通まで2週間だと思って後回しにすると、入居してもしばらく回線が使えない期間ができる。約1ヶ月で見積もるなら、真っ先に動かすべきなのはガスより先か、少なくとも同じくらいのタイミングになる。

水道は直前でも間に合う

東京都水道局の公式サイトには「次のお手続きについては、3〜4日前までに必ずお手続きください」と明記されている。使用開始も使用中止も、同じ3〜4日前が期限だ。電気やガスに比べると、動き出す時期はかなり遅くてよい。

水道の開始・中止の手続き期限(2024年6月更新)
水道の開始・中止の手続き期限(2024年6月更新) ※東京都水道局「手続きに際して」を基に作成

水道には、もうひとつ見落としやすい特徴がある。23区および多摩地区26市町内での転居であれば、引っ越し後も転居前の振替口座やクレジットカードをそのまま使い続けられるという。支払い方法を変える手続きが要らない分、動かす手間そのものが少ない契約だ。

手続きの窓口は東京都水道局アプリで、開始申込みと中止届の両方をここから出せる。水が出ないなど至急の対応が必要な場合は、お客さまセンターに連絡する。届け出を忘れると、住んでいなくても基本料金がかかり続けるので、退去側の中止届は開始申込みと同じくらい重要だ。

火災保険は人を介す

家財を対象にした火災保険は、ウェブで完結する契約ではない。三井住友海上の公式FAQは、引っ越しの際は保険の対象になっている所在地の変更手続きが必要で、継続を希望しない場合は解約の手続きになると案内している(GKすまいの保険などについての回答)。

所在地の変更手続きでは、引っ越し先の住所や面積、構造などを確認される。引っ越し先の条件によっては保険料が変わる場合があり、変更ができない契約もある。

同じFAQでは、問い合わせ先は取扱代理店とされている。代理店の連絡先が分からなくなっている場合に備えて、連絡先を確認する方法も別ページに用意されている。電気やガスのようにその場で完結するわけではなく、人を介した確認が挟まる分、後回しにするほど新居での初日に間に合わなくなる。

期限の短さと動き出す時期は別

締切の早い順に並べ直した引っ越し手続きの順番
締切の早い順に並べ直した引っ越し手続きの順番 ※概念図(実測データではありません)

水道の「3〜4日前」は、5つの契約の中でいちばん短い期限に見える。ただしこれは手続きが間に合う期限で、手続きにかかる期間ではない。開通まで約1ヶ月かかる回線と、立会いの予約枠が埋まっていくガスのほうが、動き出す猶予はずっと短い。

電気は2ヶ月前から受け付けていて立会いも要らないので、後回しにしても間に合う。ただし他社から切り替える場合は、検針日の兼ね合いで数日ずれることがある。

締切の早い順に並べ直す

公式の案内どおりに締切の早いものから並べると、インターネット回線の申し込みとガスの立会い予約、次に火災保険の住所変更の連絡、それから電気の使用開始・中止、最後に水道となる。料金の高い契約でも手続きが簡単な契約でもなく、開通や予約に時間がかかる契約が先頭に来る。

ガスの立会いとインターネットの工事を同じ日にまとめようとすると、業者同士の日程調整でかえって時間がかかることがある。すべてを1日に寄せないほうが、結局は早く済む場合もある。火災保険の連絡は立会いも工事も要らないので、電話で済ませられる日を先に押さえておけば、他の予定に合わせて後から動かしても差し支えない。

引っ越し日が決まったら、チェック欄を作る前に動かす順番を決め、インターネット回線の申し込みとガスの立会い予約から始める。受付期間や開通までの日数は、契約先の公式ページで確かめる。

次に読む

本記事の受付期間・手続き方法は2026年9月時点で各社公式サイトに掲載されていた情報を基にしている。電気・ガス・水道は地域ごとに事業者と受付条件が異なり、回線の開通期間や保険料の変更有無も建物・契約内容によって変わるため、手続きの際は必ず契約先の公式サイトや契約書面で最新の内容を確認したうえで、ご判断いただきたい。

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この記事を書いた人

家族会議 編集部です。結婚・出産・子育てのお金と手続きを、国や自治体の公式ページと法令で確かめて、確認日つきでまとめています。誤りに気づいたら、お問い合わせからお知らせください。

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