持ち家の修繕積立、始める年と月額の決め方

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「持ち家の修繕積立始める年と月額」「引き渡しの月から始めると月額を低く抑えられる」の文字と、住まいの色の地に家の絵

一戸建てでリフォームをした人が実際に払った費用は平均470.1万円で、検討を始めたときの予算349.0万円を121.1万円上回っていました(住宅リフォーム推進協議会の2025年度実態調査)。

修繕のための積立は、引き渡しを受けた月から始めると月額をいちばん低く抑えられます。外壁の全面補修を考える目安は築15〜20年なので、470.1万円をその年数で割ると月2万円弱から2.6万円ほどです。住宅ローンや保育料で余裕のない時期は、この額の6割から始めて途中で引き上げる組み方もあります。

目次

部位ごとの交換時期の目安

木造一戸建てで、まとまったお金が出ていく部位の取替え時期は次のとおりです。

部位 取替え・補修を検討する築年数 表にある途中の手入れ
雨どい(塩化ビニル製) 7〜8 特記なし
給湯器 10前後 特記なし
ユニットバス 10〜15 特記なし
屋根(金属板葺き) 10〜15 塗替えを3〜5年ごと
外壁(金属系サイディング) 15〜20 塗替えを3〜5年ごと
外壁(窯業系サイディング・タイル・モルタル) 15〜20 特記なし
キッチン・洗面・トイレ 15〜20 特記なし
屋根(化粧スレート葺き) 15〜30 特記なし
屋根(瓦葺き) 20〜30 特記なし
土台・床組(土台以外を取替え) 20〜30 防腐・防蟻の再処理を5〜10年で

出典:住宅金融支援機構「マイホーム維持管理の目安【一戸建て(木造住宅)】」(2022年4月版、2026年9月確認)

年数は大体の目安で、立地や使い方、日ごろの手入れで前後します。給湯器のあとに外壁、その次に屋根と、山は間を置かずに続く並びです。床下の防蟻処理のように、外から見えないまま周期が来る出費もあります。

塗装は全面補修より早く来ます。戸建ての居住者へのアンケートを使った推計(国土技術政策総合研究所の維持保全の手引きに収録)では、サイディングの塗装は築11年、スレート屋根の塗装は築13年の時点で半数の家が済ませています。

外壁の表面を指でこすって白い粉が付く状態は「チョーキング」と呼ばれ、再塗装を考える時期に近づいた合図です。サイディングの継ぎ目を埋めるシーリング材も、新築後10年程度で縮んで「痩せ」が出て、放っておくとひび割れやはがれにつながります。全面補修の目安より手前に塗装の出費を1回置いて、積立の計画を立てます。

床下は年に1回、点検口から覗いて、木材の湿り気やカビ、基礎の立ち上がりにシロアリの通り道がないかを見ます。疑わしい跡があれば専門家に相談します。

予算より実費で見積もる

積立の目標額には、予算の平均より実費の平均を使います。冒頭の調査は過去3年以内に自宅をリフォームした人が対象で、一戸建てもマンションも、実際の費用が検討時の予算を上回りました。

一戸建てとマンションで、リフォームの検討時予算と実際の費用の平均を比べた横棒グラフ。一戸建ては予算349.0万円に対して費用470.1万円、マンションは予算257.7万円に対して費用316.9万円。住宅リフォーム推進協議会「2025年度 住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査 報告書」を基に作成
リフォームの検討時予算と実際の費用(一戸建て・マンション別、2025年7〜8月調査) ※住宅リフォーム推進協議会「2025年度 住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査 報告書」を基に作成

一戸建ての差121.1万円は、予算どおりに貯めていても工事の段階で足りなくなる額です。マンションでも費用が予算を上回っています。リフォームを考え始めたきっかけの1位は「住宅の設備や構造を修繕したかったから」で、実施者全体の56.2%が選んでいます。

調査の費用は、設備の入れ替えや間取りの変更も含めた工事全体の額です。外壁や屋根の山に向けた目標を置く物差しには、この額が使えます。築20年未満の家に絞っても、一戸建てとマンションを合わせた費用の平均は470万円台で、築浅のうちから1回の工事でこの規模のお金が動いています。

瓦屋根(面積約100㎡)の補修費の目安は、瓦をいったん下ろして下葺きと瓦桟を替える葺き直しが1㎡あたり1万円から、全面の葺き替えが1.5万円からです。出張費と足場などの安全対策費を含まない、きわめて大まかな参考値です。

見積もりを取るときは、足場代を別の行で出してもらうと比べられます。外壁と屋根を同じ時期にした場合と別々にした場合で足場が何回要るかも聞いておくと、積立の山を1つにまとめるかを決められます。

積み立て方は3通りある

積み立て方の分け方は、国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(令和6年6月改定)のものが、一戸建ての家計にもそのまま使えます。

  • 均等積立:必要な総額を、期間中ずっと同じ額で積み立てる方法です。
  • 段階増額積立:最初の額を抑え、途中で段階的に引き上げる方法です。
  • 一時金・借入:修繕のときにまとめて払うか、金融機関から借りる前提の方法です。

将来の負担増を前提にした方式では、増額の合意がまとまらずに積立金が不足した例が出ています。ガイドラインは、安定して積み立てる観点から均等積立を「望ましい方式」と位置づけています。

均等積立は、段階増額より早い時期から多くのお金を手元で管理することになります。子どもの教育費を貯める時期と重なる家庭では、ここが迷いどころです。段階増額は当初の負担が小さい反面、上げる約束を守れなければ山の直前で足りなくなります。

国土交通省のガイドラインのモデル例で、均等積立と段階増額積立の積立累計を30年間の折れ線で比べた図。均等積立は月14,500円で0から、段階増額積立は基金36万円から始まり、どちらも30年目に522万円に達する。段階増額は前半の累計が低い。国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を基に作成
均等積立と段階増額積立の積立累計の推移(令和6年6月改定版のモデル例) ※国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を基に作成

ガイドラインのモデル例では、30年間で必要な522万円を、均等なら月14,500円で積み立てます。段階増額の例は購入時の基金36万円を併用し、月6,000円から5年ごとに3,000円ずつ上げていきます。引き上げ幅の目安は、最初の額が均等にした場合の0.6倍以上、最後の額が1.1倍以内です。

一戸建ての月額を試算する

冒頭の470.1万円を築20年までに用意する場合、入居した月から均等に積むと月およそ1.96万円です。金利や物価の上昇は入れず、積み立てたお金は増えも減りもしない前提で計算しています。

一戸建てのリフォーム費用の平均470.1万円を用意するための月額を、始める時期と期限で比べた横棒グラフ。築5年から築15年までは月3.92万円、入居時から築15年までは月2.61万円、入居時から築20年までは月1.96万円。住宅リフォーム推進協議会「2025年度 住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査 報告書」の一戸建ての平均費用を基に筆者が試算
470.1万円を用意する月額、始める時期と期限別(金利・物価の変動を含まない) ※住宅リフォーム推進協議会「2025年度 住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査 報告書」の一戸建ての平均費用を基に筆者が試算

期限を築15年に早めると月およそ2.61万円になります。始めるのが5年遅れると、同じ築15年の期限でも月およそ3.92万円で、1.5倍に増えます。

子育て期で月2万円が重いときは、ガイドラインの0.6倍と1.1倍を家計に当てはめます。均等額の0.6倍(月およそ1.18万円)で始めて20年で470.1万円に届かせるには、5年目から1.1倍の月およそ2.15万円に上げます。低い額で積めるのは最初の4年までです。

この組み方で最初の4年に手元へ残るお金は、均等の場合より約37.6万円多くなります。保育料の重い時期をしのぐ額として足りるかどうかが、段階増額を選ぶかの分かれ目です。低い額で始めるなら、上げる月を先に決めてカレンダーに入れておきます。

3つの方式から選ぶときは、次の順に当てはめます。

  1. 最初の大きな山までの残り月数:残りが短いほど、均等でも月額は上がります。
  2. 家計の重い時期との重なり:保育料や住宅ローンの負担が大きい数年だけ、段階増額にします。
  3. 足りない分の埋め方:不足を借入で埋めるなら、その返済が次の山と重ならないかを見ます。
  4. 見直しの間隔:ガイドラインが長期修繕計画に求める「5年程度ごと」に合わせ、積立額を点検します。

マンションは専有部分を自分で積む

マンションの修繕積立金は共用部分の工事に充てるお金で、専有部分のリフォーム費用は原則として含まれません。

専有部分の取替えの目安は、給湯器が10年位、ユニットバスが10〜15年位、キッチン・洗面・トイレが15〜20年です(住宅金融支援機構「マンション維持管理の目安」)。水漏れや排水口のつまりのように共用部分が関係する箇所は管理規約の取り決めによるので、取り替える前に管理組合へ確認します。

管理組合の積立額が足りているかは、同じガイドラインの目安で確かめます。地上20階未満で建築延床面積5,000㎡未満の建物なら、計画期間全体の平均は専有面積1㎡あたり月335円で、事例の3分の2が235〜430円に入っています。専有70㎡に当てはめると月2.3万円あまりです。機械式駐車場がある建物は、この目安に機種と台数に応じた額を足して比べます。

目安と比べる額は、長期修繕計画の計画期間全体で集める修繕積立金の総額などを、総専有床面積と計画期間の月数で割った平均額です。段階増額の初めのうちは、今の月額がこの平均より低く出ます。これから買う人は、提示された積立金が均等積立か段階増額かを確かめ、将来の値上げが住宅ローンの返済計画と両立するかを見ておきます。

10年目までに確かめること

新築住宅を供給する事業者は、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分の瑕疵について、10年間の瑕疵担保責任を負っています。事業者が保険に加入していれば、倒産した場合などでも2000万円までの補修費用を保険法人から受け取れます。結露は住宅品確法の瑕疵の対象になりません。

築9年目のうちに外回りの点検を頼めば、雨漏りの兆しを保証の期間内に見つけられます。給湯器の取替えの目安も同じころなので、積立を最初に取り崩す年をここに置くと計画が立ちます。

給湯器の交換費用は機種や能力で幅があります。築9年目の点検と一緒に、今ついている機種の型番で見積もりを1回取っておくと、積立から出す最初の額が決まります。

点検や工事の記録は、売るときにも使えます。工事図面、見積書、工事請負契約書、工事前後の写真を「マイホーム点検・補修記録シート」と一緒に保管しておくと、中古住宅の価値を判断する材料になります。

今月のうちに手元でできる準備は次のとおりです。

  1. 引き渡し時の図面と仕様書を出し、外壁材と屋根材の種類を書き出します。
  2. 住宅金融支援機構の目安表から、自宅の部位の取替え年を西暦で書き込みます。
  3. 築15年と築20年のどちらを最初の期限にするか決め、月額を計算します。
  4. 生活費と別の口座を用意し、給料日の翌日に自動で移す設定にします。
  5. 点検や工事をしたら、機構の「マイホーム点検・補修記録シート」に日付と金額を残します。

工事費のうち労務費は、建設業の担い手不足などで変わる可能性があります。470.1万円という目標額も固定せず、見直しのたびに最新の調査や手元の見積もりで置き直します。

最初の見直しは積立を始めて5年後です。そのときは記録シートと部位ごとの取替え年を並べ、塗装の時期が早まりそうなら月額を上げてください。

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中古マンションの選び方と買い方を扱った入門書です。マンションの購入を考えている人向けに、積立金の方式を確かめる節とあわせて紹介します。

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免責

本記事の数値は、2026年9月25日時点で住宅金融支援機構・国土交通省・国土技術政策総合研究所・住宅リフォーム推進協議会の公開資料で確認したものです。交換や補修の時期は立地や仕様、使い方で変わり、費用も工事の内容と時期で大きく変わります。積立額や工事の判断は、ご自宅の点検結果と施工会社の見積もりを基にご判断ください。本記事は特定の工事や金融商品を推奨するものではありません。

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この記事を書いた人

家族会議 編集部です。結婚・出産・子育てのお金と手続きを、国や自治体の公式ページと法令で確かめて、確認日つきでまとめています。誤りに気づいたら、お問い合わせからお知らせください。

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